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2012年1月16日 (月)

月光ノ仮面

Photo 『板尾創路の脱獄王』で監督デビューした板尾創路が監督・脚本・主演を務めた第2弾。古典落語「粗忽長屋」をモチーフに、記憶を無くした男とその戦友、戦友の恋人の三者の姿を描いた物語だ。共演に『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』の浅野忠信、『漫才ギャング 』の石原さとみ、國村隼、佐野泰臣らが出演している。衝撃のラストに注目だ。
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男が見せる一世一代のサゲ

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かなり難解な作品。しかし上映後の舞台挨拶で監督の話を聞いてある意味なるほどと合点がいった。いきなり結末のネタバレで申し訳ないがsecret男にマシンガンで撃ち殺され笑いながら死んでゆく寄席の客や身内secretと言う衝撃のラストシーン、実は監督はあのシーンが撮りたくてこの作品を作ったのだと語っていた。芸人としてsecret客を笑わせたまま殺してしまいたいsecretというブラックなジョーク、そしてその場合の芸は漫才でもコントでもなく落語だろう、そういうことだそうだ。更にこんなムチャクチャなラストに向けて話をどう紡ごうかと考えた時、どうやっても話が繋がる訳がなく、無理があるのは承知の上だとも言っていた。と言うワケで、意味が良く解らないのも当然なのである。

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物語は古典落語の「粗忽長屋」をモチーフにしている。「粗忽長屋」では八公が行き倒れの男を親友の熊公と勘違いし、しかも自分の長屋に当人の熊公を呼びに行ってしまう。呼ばれた熊公は当然生きていているが、しかし行き倒れの男を自分だと思い込み抱いて確認しようとするのだ。そこで決め台詞「抱かれてるのは確かに俺だけど、抱いてる俺はいったい誰だろう」が出る訳である。この作品でもモチロンこの “俺はいったい誰だろう”の部分が肝になっていた。最初に男(板尾創路)が登場し、立ち寄った寄席で勝手に高座に上がってしまい大騒ぎになる。ところが彼はひょんなことから将来を嘱望された若手噺家・森乃家うさぎではないかと勘違いされてしまうのだ。しかし男には一切の記憶がなかった…。

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一門の弟子、師匠の天楽(前田吟)そして何より天楽の娘でうさぎと結婚の約束をしていた弥生(石原さとみ)までもが男をうさぎと思い込む。特に弥生は自分が出征の時に渡したお守りを彼が持っていたこと、そして彼に抱かれる時に左肩に大きな痣のあるのを見だことで間違いないと信じ込むのだ。言ってみれば周りの人間全員が“八公”になってしまったということである。男をうさぎとして復活させようとする周囲の姿はそれなりに滑稽な部分もあるが、例えばsecretドクター中松とタイムマシンsecretが登場したりするのは意味が解らない。同様に、太った女郎と男が女郎部屋の床下をひたすら掘り続けると貫通した先からsecretドクター中松が顔を出すsecretというのも全くもって???だった。

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ある日今度は本物のうさぎ(浅野忠信)が帰ってくる。しかし本物は声を失っていた。実は彼と男が戦友だったことは劇中では割と直ぐに明らかにされている。周囲の戸惑いと怒り。しかし記憶の無かった男をうさぎだと思い込んだのは粗忽な“八公”の方であり彼に責任はない。ただこの作品でちょっと辛いのは、頭の中で想像する落語と違って、映像で全てがハッキリ見えてしまうことだろう。簡単に言えば板尾創路と浅野忠信は確かに似てはいるけれど、どう考えても本人だと信じ込んでしまうほどそっくりではないということだ。まあそれを言ったら作品の全否定になってしまうのだが(苦笑)ともあれ、うさぎは「森乃家うさぎ」の名前を男に継がせることを天楽に提案する。

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例えばここで声を失ったうさぎが、自分と同じ顔と声を持つけれど記憶が無い男に、自分の全てを注ぎ込むというならまだ解る。要するに空っぽの男は容器であり、うさぎと言う中身でそれを満たしてやるというならば。ところがそれらしき描写がない。うさぎが男に何かを教えたりと言ったシーンはおろか、2人の関わり合い自体が殆ど無いのだ。しかし周囲は男をうさぎという人間に仕立て上げようとする。そこで“おれはいったい誰だろう”となるワケだ。これは戦争によって己のアイデンティティを失った男の悲しい叫びとも受け取れるだろう。そう考えれば、ラストシーンは少しは理解できるような気もしないではない。つまりそれは男が“森乃家うさぎという噺”で見せる一世一代のサゲなのである。

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と自分なりに理解を試みたがこれは甚だ心許ない。最初に書いたように監督自らがこんなシーン撮って見たいというそれだけで作ったものなのだから、そこに無理矢理理屈をつけても仕方ないという気もするのだ。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:舞台挨拶は普通に面白かった(笑)
総合評価:64点

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