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2012年1月17日 (火)

三国志英傑伝 関羽/関雲長

Photo 『イップ・マン』『孫文の義士団』のドニー・イェンが三国志演義に登場する英雄・関羽雲長を演じ、いわゆる「過五関斬六将」を描いた歴史物語だ。監督は「インファナル・アフェア」シリーズのフェリックス・チョンとアラン・マック。関羽を部下にしたがる曹操を『ニューヨーク、アイラブユー』では監督を務めたチアン・ウェンが、劉備の妻・綺蘭役に『カンフーサイボーグ』のスン・リーが演じている。
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いつの間にか曹操と関羽の存在感が逆転した

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三国志演義の登場人物の中でも人気があり、その信義や義侠心に厚い生き方から関帝廟という廟までも建てられている関羽雲長。本作はそんな彼がもっとも彼らしいとされている「過五関斬六将」のエピソードに焦点を当てて描かれた歴史物語だ。この歴史的名ヒーローを現代中国のアクションヒーローであるドニー・イェンが演じる訳だが、実は最初からちょっとケチをつけてみたくなるのがその身の丈だ(笑)演義の中では関羽は身の丈9尺、つまり約216センチとあるものの、我らがドニーは公称169センチ、スターの中では小柄な方で、紅顔の偉丈夫というよりは切れ味鋭いテクニシャンといった感じである。ただもちろん重さ82斤(約48kg)と言われる青龍偃月刀をぶん回し闘う勇姿はかなりの迫力だったのは言うまでもない。

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さて物語序盤、関羽は曹操(チアン・ウェン)捕虜となっている。とにかく曹操は関羽の武勇やその性格を非常に気に入っており、何とか彼を自分の配下にしようと説得を繰り返すのだった。そもそも関羽は劉備の夫人を守って捕虜になったのだが、ここで演義にも登場しない劉備の第三夫人予定の女性・綺蘭(スン・リー)が登場する。綺蘭の存在はこの物語のキーと言って良いだろう。彼女の存在によって単なる演義上のエピソードをなぞる物語ではなく、そこに主君の妻に対する恋心を抑える関羽という映画的な脚色が加わっているのだ。ただし、元「三国志研究会」会員として(笑)個人的に言わせて貰うとそんな存在は全く邪魔でしかないと思っている。それは三国志演義の面白さは女性が絡むラブロマンスではなく、男たちの武勇知略を尽くした熱い戦いにあると思うからだ。

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曹操は関羽を手に入れるため夫人たちを当時袁紹のもとに身を寄せていた劉備の元に返す。要するに関羽に恩を売った訳だ。その恩に報いるために関羽は袁紹軍の猛将・顔良を討ち取るのだった。たった一人で戦況を一変させてしまうほどの剛勇ぶりは正にイメージどおりの関羽であり序盤の見せ場である。演義ではこの後関羽は曹操のもとを去るのだが、ここで綺蘭の存在をフィーチャーするエピソードが仕込まれていた。しかし、関羽の恋心に気付いた曹操が彼女を鍼で身動きできなくし、関羽の酒に薬を仕込んで不義を働かせようとするなどというのは、おおよそ曹操らしくない。こういうのを蛇足というのだ。何百年もの間世界中で愛読されているお話に、昨日今日の人間が付け足すことなど出来ない。それは過去世界的な名画に現代の一流画家が一部加筆でき無いのと同じことだ。

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ただその割りには面白く観られるのは一つには当然ドニーの演技力とアクションのお陰がある。それともう一つ。意外なほどに曹操の人となりを演義に忠実に描いているのことだ。もちろん先ほど書いたつけたし部分は論外だが、それ以外では曹操の人としての懐の大きさ、彼は彼なりに天下万民の事を考えていることが良く伝わってきて、時として曹操の存在感は関羽を超えていたりするのである。演義上ではもちろん劉備と曹操の対立が話の軸ではあが、実際には一般的に考えられているほど単純に善悪二元論ではない。と言うより、「乱世の奸雄」と称される曹操とて、また一方の英雄で在るのは間違いないのだ。曹操の人間的魅力を伝えてくれる名優チアン・ウェンはアクションこそないけれど、その演技力はドニーを凌いでいると思う。

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さて、ここからようやく「過五関斬六将」。元々これは関羽を恐れた部下が曹操に内緒で彼の殺害を命じ、それが故に関羽が関所を力づくで突破してゆくというエピソードである。武将同士の戦いはそれはもう見応え十分なのだが、何で天下の関羽が苦戦を強いられなければならないのかが良く解らない。しかも最後になってまた綺蘭が登場し意味不明なラブロマンスが展開されるのにはがっかりだ。「あなたと結婚したいと劉備様にお願いしてみる」って…。更にそんなところで自分を抑える関羽を見ても別に彼のイメージにとってプラスにはならない。と言うよりこの土壇場で関羽の存在を安っぽい恋愛ドラマに堕してどうするのかと。おまけに突如現れた皇帝自らが関羽を討つ様に命じたことをカミングアウトし、それに反撃して皇帝を殺そうとする関羽を曹操が必死の形相で止めるという…。

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曹操はこんなクソ皇帝でもいなければ世の中が乱れる、今は我慢しろと関羽を諭し、あまつさえ皇帝を指差し「天下を評定したら俺がコイツを殺す!俺を信じろ!」とまで宣言するのだ。この時点で関羽と曹操の存在感は完全に逆転していた。鋭い眼光を放つチアン・ウェンに対して、ドニーは寂しげに去っていくのみなのだから当然と言えば当然だ。しかも後に関羽亡き後に彼を曹操自らの手で手厚く葬るシーンが出てくるに到っては、曹操の英雄としての大きさだけが残ってしまったようですらある。とはいえアクション映画として相変わらず見所も多いし、、三国志演義に拘らないなら中々に楽しく見られる作品だと思う。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:演義に忠実でいいのになぁ…
総合評価:64点

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