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2012年2月 3日 (金)

アニマル・キングダム/Animal Kingdom

Photo_2 実際にあった犯罪者一家をモデルにしたクライムドラマ。母親の死によって犯罪者一家の中で生きていくしかなくなった青年がその良心と生活の間の葛藤に悩む姿を描いている。主演に新人のジェームズ・フレッシュヴィル、共演に第83回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたジャッキー・ウィーバー、ガイ・ピアースベン・メンデルソーンら演技派が揃う。監督は『メタルヘッド』の脚本家デヴィッド・ミショッド。
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王国は続いていくのだろうか…

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「アニマル・キングダム」そのまま訳したら「動物の王国」…だと何だか昔のテレビ番組「野生の王国」みたいだから、意訳するなら「野獣の王国」とでも言うべきだろうか。要するに犯罪者一家をテーマにして描かれた実話ベースの物語である。そしてこの王国のキングは紛れも無くひ弱で小さなお祖母ちゃんジャニーン(ジャッキー・ウィーヴァー)だった。冒頭で母ジュリアをヘロインの過剰摂取で失った高校生のジョシュア(ジェームズ・フレッシュヴィル)は、生きてゆくためにキングを頼り、当然ながらその王国の一員とならざるを得なくなる。ただ母はそんな獣たちと距離をとるために家をでてジャニーンを育てていただけに、彼の姿はまるで肉食獣のオリの中に入れられた草食動物のようだ。

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いや正確には肉食獣ぶっている草食動物という感じ。要するに彼の基本は善良な高校生であり、その彼がいることで王国の家族たち、3人の伯父ポープ(ベン・メンデルソーン)、クレイグ(サリヴァン・ステイプルトン)、ダレン(ルーク・フォード)の野獣振りを際立たせることになる。…ハズだと思うのだが、これが何故か観ていて全然そうは見えない。そもそも事件は3人の伯父の犯罪における頭脳ともなっていたバリー(ジョエル・エドガートン)が警察に射殺されたことに始まる。この事件が発端となって報復に警官2人を射殺し、逆にクレイグが殺されるという文字通り血で血を洗う戦いに発展してしまうのだが、何故バリーがいきなり殺されたのかが解らない。

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確かに王国の住人たちは悪事の限りを尽くしていたのだろう。実際銀行強盗のシーンもあるしドラッグをやっているシーンもある。だが、この程度の悪行で果たしていきなり警官に射殺されるものなのか。それも犯罪現場ではなく、ショッピングセンターの駐車場で武器も持っていないのにいきなりだ。もっと彼らの悪逆ぶりを見せ付けてくれないとどうにも話が腑に落ちないのだ。その後の報復の仕方も警官2人を殺すだけ、変な話だが伯父の中でもポープだけが何の関係もないジョシュアの恋人ニッキー(ラウラ・ホイールライト)をドラッグの過剰摂取に見せかけて殺すという非道振りを見せ付けてくれるのが唯一の救い?だった。さて、警察はジョシュアの草食ぶりに目をつける。

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ネイサン・レッキー刑事(ガイ・ピアーズ)は王国から抜け出すには自分たちに協力することだと彼を説得し、数々の悪事に嫌気が差していた彼は証言をすることで自らの身を守ろうとすることに。逮捕されたポープとダレンを助けるために、ジョシュアを消そうとするキング・ジャニーン。弁護士や抱きこんだ警官に現地を取られないように指示する姿は、真の悪党そのものだった。要するに決して自分の手は汚さないのだ。証人保護プログラムで守られているはずが、そもそも警察までも抱き込まれているようでは一体どこに正義があるのかも解らない。結果として彼は自らの力で自らを守るより他なくなるのである。それは即ち、自らの手でポープを葬り去ることに他ならない。

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この辺りがいかにも欧米人的自己責任の思考だなと思える。結果としてアレほど嫌っていた殺人を自らの手で行う所までジョシュアは追い込まれるのだが、生きるためにはそれ以外に方法がないのだ。それは追い込まれた草食動物が反撃を試みるというより、まるで肉食獣へと生まれ変わってしまったかのようでもある。葛藤を乗り越えた青年が出した結論がこれとはある意味悲しい現実というより他ない。ジャニーンに抱きつくラストシーン、これは果たして王国継承の儀式なのか、或いは単なる安堵感からなのか。家族の間の歪んだ愛情と絆は、このあとも連綿と続くのかは定かではない。だが、実話をベースにしている以上、いわゆるハッピーエンドは想定できないのではないかと思った。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:事実は小説ほど奇でないこともあるのかな…
総合評価:58点

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