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2012年2月24日 (金)

生きてるものはいないのか

Photo 『逆噴射家族』の石井聰亙監督が、名前を石井岳龍と改め約10年ぶりに制作した長編作品。第52回岸田國士戯曲賞受賞の戯曲を映画化したものだ。次々と原因不明の死を遂げていく人々の姿を描いた群像劇。出演は『ヒミズ』の染谷将太、高梨臨、白石廿日といったフレッシュな若手が揃う。脚本は原作そのままに前田司郎がつとめた。
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生と死は等しく日常的に在る

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ネット上の評判はいま一つな本作、個人的には好きな俳優・芹澤興人が出演しているのを予告編で知って鑑賞してみた。元々は岸田國士戯曲賞受賞の戯曲なのだそうだが、もちろん知らない。しかしどこかで聞いた事があると思ったら、過去に観た映画の中では宮藤勘九郎の『鈍獣』も同賞受賞作品だった。映画全体の率直な感想を言うと「だから何よ?」という感じではある。要するに具体性は全く無いのだ。石井岳龍監督は原作のテーマに非常に共感し、全くと言っていいほどそのままの状態で映画化したというが、だとしたら原作者の前田司郎の想いがこの作品のテーマそのままということなのだろう。舞台となっているのは大学病院のキャンパス。ただし登場するのは学生だけではなく様々だ。

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簡単に言えば予告編で見せられた現象が全てで、ある日突然世界中の人々がバタバタと死んでいく中で、舞台となっているキャンパスにいる人々にフォーカスを当てただけである。原因不明なだけでなく、特に原因を解明しようという動きすら起こらない。というより最初少しだけ騒ぎが起こるが、基本的にパニックすら起こらない。人間だけでなく鳥も死んでいるところをみると、要するに地球滅亡へ向かっているようなのだが、先日観た『メランコリア』に比べるとえらく抱えているものが軽くてポップな所に戸惑いつつも惹かれるものがある。ただ、舞台が日本であり、ある日突然日常の中に入り込んできた死という事を考えると、これはどうしても3.11を想起せずにはいられないだろう。

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日常の中に入り込んできた死と書いたが、考えてみれば死そのものはいつだって命と隣り合わせであって、生きていると言うことはもしかしたらたまたまその針が生の側に振れているだけのことなのかもしれない。例えば中庭のようなところで他愛も無い話をする女子大生たちや、サークルの仲間たち、彼らの会話は正しく今の若者の日常の姿そのままだ。オヤジの私からすると若干イラッとするしゃべり方なのだが(苦笑)ただその軽妙な会話のリズム感はやけに心地良く、話している内容もバカバカしいのだけれど面白くて、結構劇場内からも笑いが起こっていた。さて、物語序盤の数人に関しては死に対する当人や周囲の人間の戸惑いや恐怖が描かれていた。

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ただ面白いことにそんな人々を多く見て行くと段々感覚が麻痺していくのだろうか、やがてその特異な状態すら日常に組み込まれていく。一応死の予兆は感じるらしく、それを感じた直後に急に咳き込んだり腹痛を感じて死に至るのだが、死ぬ前に必ず何がしか一言残してから息絶えるのが妙に笑えてしまう。何しろそれは劇中の登場人物も気付いていて、最後の方では何を言って息絶えようか話し合ったりまでする始末なのだ(笑)ところで私のお目当ての芹澤興人は大学病院の耳鼻科の医師・ナイトウ役で出演していた。独特の風貌とキャラクターは今回も健在で、片思いの相手・マキ(青木英李)にテープを渡してくれと叫びながら死んでいく。が、死して尚笑いを残すと言う実にナイスなキャラだった。

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もう一人、『ヒミズ』での熱演が記憶に新しい染谷将太は、大学のカフェのバイト・ケイスケという役。彼は病院の患者・ミキ(田中こなつ)がまだ生きている人を殺す場面を2回目撃することになる。本作において、原因のある死はこの2件だけなのだが、この2人は共に愛する人を理由も解らないままに亡くした人間だった。その様子を眺めるケイスケから感じる虚無感が印象的だ。それは、原因があろうがなかろうが人々に降り注ぐ死そのものに差はないのだという諦観とも言えるかもしれない。最初に書いた通り、この作品から何か結論めいたメッセージ性は感じられない。しかしながら観ていて不思議なほどに笑え、先の読めない妙な期待感は感じられたように思う。ただこれをそのまま額面どおり受け止めてよいのか戸惑いがあるのも事実だった。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:東方見聞ロックってw
総合評価:62点

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