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2012年2月16日 (木)

チャイナ・シンドローム/The China Syndrome

Photo 1976年3月16日に公開され、その僅か12日後にスリーマイル島原発事故が起こったことで社会現象まで起した作品。原発を取材するテレビキャスターのヒロイン、命懸けで事故を防ごうとする技術者、利益優先の企業の三社の姿を描いている。主演のジェーン・フォンダ、共演のジャック・レモン、マイケル・ダグラスとオスカー俳優が揃った。監督はジェームズ・ブリッジス。
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30年前も今もやっていることは同じだった…

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元々は、もしアメリカの原子炉にメルトダウンが起きたら、溶けた核燃料が圧力容器や格納容器を溶かして貫通、終いには地面をも貫通して地球の裏側の中国にまで達するというブラックジョーク。ところがジョークだったはずがジョークでは済まなそうな事故が起こり、皮肉にも大ヒットしてしまったのが本作だ。というのも本作が公開された1976年3月16日から僅か12日後の3月28日にペンシルベニア州にあるスリーマイル島原子力発電所事故が起きたのである。事故の詳細はここでは省くが、この事故にせよ、映画である本作にせよ、あまりにも今回の福島第一原発事故で観られたシチュエーションに似通っていて驚いた。まるで今の日本を参考にして映画が作られたかのようですらある。

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最初はアメリカの地方テレビ局の記者であるキンバリー・ウェルズ(ジェーン・フォンダ)とカメラマンのリチャード・アダムス(マイケル・ダグラス)が原発の取材に行った時に起こった事故が発端だ。制御室の外から何らかのトラブルが起こっていることが見て取れたリチャードはその様子を隠し撮りする。実際にはその時水位計の誤作動で誤って原子炉から水を抜いてしまったため、メルトダウン寸前であったのだが、専門家でない2人には何が起こったのか解らない。後日キンバリーは制御室長のジャック・ゴデル(ジャック・レモン)として話を聞くことに成功する。ここでのゴデルのセリフがあまりに印象的だ。彼は全てを見ていた彼女の前で事故は無かったと主張するのだ。

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曰く、「原発は人のミスを想定して二重三重のリカバリー機能をもっている。今回は確かにトラぶったが、しかし無事にその機能で停止した。だから事故は起こっていない。」と。なるほど、そもそも“事故”に対する基準が違うのだ。これは福島第一原発だけでなく、日本の原子力行政でも同じことだと思う。では彼らにとってはどこからが“事故”になるのだろう。取り返しのつかない、手の施しようがない、言ってみればスリーマイルやチェルノブイリや福島のようにならないと“事故”とは呼ばないのか。それでは手遅れなのだが…。そんなことを思いながら観ていたが、だからといってこのゴデルがダメなヤツなのかといえばそうではない。むしろ事故の原因を突き止めて内部告発しようとするのだから。

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物語ではゴデルが原発を愛しているが故に、その原発を手抜き溶接で事故の可能性が残る代物にされてしまった怒りから、その手抜き工事の証拠をキンバリーたちに渡そうと決意するまでの葛藤が描かれていた。観ていて感じるのはやはり現場の人間と経営している人間の差だ。原発の事故が発覚すれば、現在建設中の原発工事まで停滞を余儀なくされてしまうという安全性よりも利益追求のみを優先する姿勢、そしてその手抜き部分を再度検査しなおすべきだという彼の主張を、運転停止と検査にかかるコストの高さゆえにそれを退けるという、まるでデジャヴを観ているかのようなシーンが展開されるのだった。追い詰められたゴデルは最後の手段に打って出ることに。

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それはキンバリーたちの協力を経て、事故の事実と故障の前兆を訴えることだった。それに対して警察に連絡し実力で排除しようとする会社側。彼は制御室を占拠し、その要求を飲ませるも、会社側は強制的に回路をいじって原子炉を緊急停止させるという暴挙に出る。この辺は実際運転中の原子炉にそんなことが出来るのかは怪しい所だし、強制的に緊急停止させることで事故が起こるというゴデルの理屈もいま一つ解りにくい。しかも突入した警官隊が無抵抗に逃げる彼を問答無用で射殺してしまうというのは、さすがにちょっとフィクション的かなとは思う。結果的に強制緊急停止させられた原子炉は事故を起こす寸前で停止し、それはゴデルの心配が一応は杞憂に終わったことを意味していた。

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ただ作品として言いたいことはその結果と経緯ではないのは明らかだ。要は「事故は起こらないかもしれない、しかし万が一にも起こる可能性があるのならそれを排除することに全力を尽くすべきだ」と言うことである。現場からこの一連の様子を生中継していたキンバリーの映像が切れる。そして局の副調整室の向かって左のモニターの映像に彼女がリチャードと抱き合って泣いている中継映像が、そして右のモニターにはOA中の電子レンジのCMが流れる様子で終わるラストシーンは強烈な皮肉を放っていた。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:こんな気骨のある記者はいないだろうな…
総合評価:79点

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