ライアーゲーム -再生-

大ヒットドラマ「ライアーゲーム」シリーズの映画化第２弾。今回も主人公・秋山は松田翔太が演じるが、ヒロインが多部未華子に変更。共演は船越英一郎や芦田愛菜、新井浩文などほぼ全員が新キャラクターに変わった。ファイナルステージから２年後の設定で行われる今回のゲームは「イス取りゲーム」。参加者たちの虚虚実実の心理戦に見入ってしまう。監督は前作に引き続き松山博昭が務めた。
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ライアーゲームにも震災の影響が？

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ファイナルステージから２年、別の出資者が現れたことで再び開催されたライアーゲームだったが、残念ながら今回は前作までのヒロイン直（戸田恵梨香）はいない。代わりに登場するのは多部未華子扮する篠宮優だ。何故彼女が？ゲームを潰されたライアーゲーム事務局が秋山（松田翔太）に復讐するためのエサとして彼女をゲームに引きこんだのである。なんと２年たった今、秋山は大学で教員をしており優はその生徒だったのだ。ちなみに前作から引き続き登場する面子はプレイヤーとしては濱田マリ扮する酒巻マイのみである。今回何が残念と言って直よりも残念なのはキノコこと福永ユウジ（鈴木浩介）がゲームに参加しないことだ。こう言ってはナンだが彼あってのライアーゲームだったのに。

事務局の人間として残すぐらいならゲームに参加させて欲しかったものである。っとブツブツいっても始まらないのでゲームの説明から。何とご丁寧に動画まで用意してくれてあるのでそれを見てもらうのが一番良いだろう。

ゲーム解説

まず参加者には１億円が配られるが、ゲームの参加料に２億円取られる。要するに負けたら１億円の借金を背負うことになる。そして１人２０枚づつ配られるコインは優賞すれば１枚１億円で買い取ってくれる。実はここにミ
ソがあるのだが、観ている時点では気付かなかった。細かい説明は省くが、とにかくこのゲームに勝つには、最低でも２人でイスを回しあいながら他人のイスを消していかなくてはならないのだ。しかし他人のイスを消すためには２０人の投票で決まる親を取らなくてはならない。しかも投票権はゲームに負けた人間たち通称“ガヤ”にもある。従って出来るだけ大人数のグループを作る必要がある。かくして本作では３つの国と１つのガヤ集団が出来上がることになった。

それぞれ個性的なキャラ揃いではあるが、直がとにかくバカ正直一辺倒だったのに対して、優はそうでもない。優は優しいの優でもあるが、優柔不断の優でもある。この辺の微妙なブレを持った優というキャラクターは、ある意味現実的な存在と言えるかも知れないが、ドラマの展開上はあまり面白みを感じられなかった。一瞬メチャクチャムカついた瞬間はあったけれど。というより、この「ライアーゲーム」シリーズが段々と個人のキャラクターが生かされにくい作品になっている気がしてならない。個人戦が原点でそこに金で結びつく関係、弱みで結びつく関係などがあったからこそ秋山と直の信じあう心の関係が際立ったと思うのだ。それが今回はそこら辺の葛藤など一切無くあっという間にグループ分けが出来上がってしまう。

それなら既存の人間関係を持ち込んだ方が面白かったのではないか。そういう意味で福永の存在は、ある時は金で、ある時は信じて秋山と組み、しかし実際には超利己主義という、どう転ぶのか解らない面白さがあった。もちろん今回も裏切る人間はいる。しかし流石にあんなにあからさまな扱いではバレバレだ。ともあれ物語は秋山ｖｓ張本（船越英一郎）ｖｓ桐生（新井浩文）の３カ国の争いになる。面白かったのは“本命コイン”と“捨てコイン”の概念。優賞したら１億円に換えられるのが“本命コイン”、それ以外が“捨てコイン”なのだが、各国が誰を優勝させるのかは明らかでないのである。コインで買収される側とすれば、それが“本命コイン”でなければなんの意味も無い。

いつの間にか張本のコインを“本命コイン”から“捨てコイン”へと変えてしまう桐生の策略はお見事だった。それにしても新井浩文はこういうムカツク役が本当に上手い。切れ者で無口でムカツク奴ときたら前作で秋山のライバルだったヨコヤ（鈴木一真）に被るけれど、秋山とのクール対決はある意味ライアーゲーム名物とも言える。さて、優の最大のブレによって秋山はまさに絶体絶命に追い込まれるのだが、ここからの巻き返しのカタルシスこそがライアーゲームの最大の楽しみと言えるだろう。いつもながら見事な秋山の策略だが、今回最も違うのは「負けるが勝ち」「試合に負けて勝負に勝つ」を実践してみせたこと。そこに関わってくるのが先ほども書いた“本命コイン”の定義だ。

それにしても結果的に思ったのはやはり昨年の東日本大震災のせいで日本人同士の絆を考えさせる作りにしたのかなということだった。参加者２０人に優勝者がコインを１枚ずつ配れば全員が１億円儲かり、最初に事務局から配られた１億円とあわせて参加料２億を支払ってトントンになる。解っちゃいるけどそうはならないのがライアーゲームの歴史であり、もっと言えば人間の歴史のはず。いずれにしてもこのシリーズ、人員を一新するならドラマからやり直したほうが良いのではないだろうか。映画では員数あわせの存在ばかりで、いざと言う時その人がいきなりフィーチャーされても今一つなんの感慨もわかない。エンドロール後にもおまけがあるので、一応席は立たないことをおススメします。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：『リアル鬼ごっこ２』のロケ地と同じじゃない？
総合評価：63点

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予告編

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