おかえり、はやぶさ
小惑星イトカワからのサンプル採取という世界初の偉業を成し遂げた小惑星探査機ハヤブサの出発から帰還までをJAXAのエンジニアの視点から描いた物語。主演は『カイジ』 の藤原竜也。共演に杏、前田旺志郎、大杉漣、中村梅雀、三浦友和らが出演している。監督は『鴨川ホルモー』 の本木克英、脚本を陰日向に咲くの金子ありさた担当した。>>公式サイト
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20世紀FOXの『はやぶさ/HAYABUSA』 、東映の『はやぶさ 遥かなる帰還』 につづくハヤブサテーマの3作目。結論から言うと3作中もっとも酷い出来、いや映画としてここまで酷い作品も久しぶりだ。今回はかなりの辛口で書くので作品を気に入った方は読まないで頂きたい。とはいえどんな作品でも良いところはあるもの、この作品ではそれは何か。3作品中唯一の3D作品ということで、宇宙の三次元感覚は中々良く表現出来ていたと思う。他にもCGを使用した解説画面、例えばスイングバイの説明をする時の、はやぶさと地球の軌道や位置などは解り易かった。ただ逆に機械的な説明をする時は、簡潔にしようとする余り説明を省きすぎて折角の画面が説明になって無かったりもする。
もう一つの良い点、それは俳優の三浦友和の演技だ。主人公でイオンエンジンのエンジニアである大橋健人(藤原竜也)の父親で、火星探査機“のぞみ”プロジェクトのリーダーだった伊佐夫、物語の経過はともかくとして彼の登場するシーンだけは場が締まっていた。特にはやぶさ帰還後の健人と伊佐夫の父子の和解シーンはその場面だけ見ると少し感動する。少しというのは、本来そこまでもって行く物語が上手く出来ていればもっと感動できたはずだと言う意味だ。以上の2点がこの作品の良かったところである。それではこの作品の何が悪いのか。そもそも何を言いたいのかが解らない。はやぶさの物語はそれだけで十分感動的なのに、そこに変な味付けをしようとして失敗している。
例えば『はやぶさ/HAYABUSA』 はそのはやぶさの感動物語を一人の女性の目を通して素直に表現していた。そして『はやぶさ 遥かなる帰還』 は3.11を経験した上で今の日本に対する渡辺謙のメッセージが込められていた。本作にはそうした明確なものは何も無く、唯ひたすら薄く陳腐でありきたりな、耳障りだけが良い言葉とはやぶさを重ね合わせていた。例えば何故か肝臓移植の患者であるJAXA職員の妻にはやぶさを重ねて“諦めない”だとか、主人公・健人と伊佐夫に重ねて“道を示してくれた、導いてくれた”などという、いかにも後付けの都合の良さが覗えて呆れるばかりだ。脚本の金子ありさは私も好きな作品を多く書いている人だが、何故またこんなホンを書いてしまったのだろう。
はやぶさの旅における大イベントはイトカワへのタッチダウンが失敗し、2度目のタッチダウンをするかどうかの決断するシーンと、はやぶさをロストするシーン、イオンエンジンのクロス運転の決断のをするシーン、そして帰還してくるシーンの4つだが、この作品はそのどれもに全く心動かされない。まるで起こった事象の結論を単に映像化しただけかと思うほどの深みのなさ、溜めのなさで物語が進行して行くのには驚くばかりだ。ここでプロジェクトリーターの江本智彦(大杉漣)の決断やスタッフの苦悩を描かないなら何のためのはやぶさなのか。物語は肝心要のプロジェクトスタッフには目もくれず、何故か健人と同僚の野村奈緒子(杏)の2人にばかり密着している。それ以外は、唯一江本が伊佐夫に会いに行く位だ。
スタッフのとてつもない苦労を知ることで、その苦労がはやぶさの約7年60億キロの旅と重なり、やっと帰還してきたシーンで感動を呼ぶのである。まさか本気ではやぶさを擬人化し、その苦労だけで感動できるとでも思っているのだろうか。3D故に2000円の料金を払ったけれど、とても値段に見合う内容ではない。しかし皮肉にもこの作品の数少ない良い点が3Dというのだからもう笑うしかない…。しかしここでふと気がついた。見た目の解りやすさ、アバウトな説明、陳腐なテーマ、人間の描き方の薄さ…要するにこの作品はお子様向けなのか。3作品の中の3番目の公開という不利な条件はあったにせよ、私には本木監督が舞台挨拶で語ったように“これが(3作中)一番の評判”とは思えない。
個人的おススメ度2.0 今日の一言:謙さん杏さん父娘対決は父の勝ち!総合評価:45点
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» おかえり、はやぶさ [あーうぃ だにぇっと]
おかえり、はやぶさ@なかのZERO [続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 05時34分
» 『おかえり、はやぶさ』 2012年3月11日 TOHOシネマズ市川 [気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)]
『おかえり、はやぶさ』 を鑑賞してきました。
かなり酷評が多かったので、ハードル低めの鑑賞でした
おかげで、面白く見れました
【ストーリー】
宇宙の謎を解く鍵となる小惑星イトカワのサンプルを採取して地球に帰還するべく、2003年5月9日、小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げられた。JAXAのエンジニア助手・大橋健人(藤原竜也)は、火星探査機のぞみのプロジェクトに携わっていた父への思いを胸に、はやぶさの壮大なプロジェクトチームの一員として日々奔走する。しかし四つのメインエンジンの停止、通信の遮断な... [続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 07時50分
» [映画『おかえり、はやぶさ』を観た(これにて、「はやぶさ・3.5部作」制覇!^^)] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭]
☆・・・この作品、なんかしょぼそうだったのだが、まあ、普通に面白かった。
だが、先ず、この作品の楽しみ方とは、単体で観るよりも、先行した競作作品との絡みで見ることにあると思う。
(0.5)『はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH』
(1)『は...... [続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 08時08分
» おかえり、はやぶさ 3D/藤原竜也、杏 [カノンな日々]
各映画会社の競作となった惑星探査機はやぶさの軌跡を描いた物語。私は勝手にはやぶさ映画三部作と呼んでたりしますけど、そのとりを飾るのがこの松竹映画『おかえり、はやぶさ』 ... [続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 09時16分
» おかえり、はやぶさ [象のロケット]
2003年5月9日、鹿児島県内之浦の宇宙空間観測所から、小惑星探査機<はやぶさ>が打ち上げられた。 同年12月の火星探査機<のぞみ>の失敗により、プロジェクトチームは「これがラストチャンスだ」と改めて成功を誓う。 宇宙の謎を解くカギとなる小惑星イトカワのカケラを地球に持ち帰るという壮大なミッションを課せられた<はやぶさ>の前途には、数々の困難が待ち受けていたのだが…。 ヒューマンドラマ。... [続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 12時11分
» 映画:「おかえり、はやぶさ」♪。 [☆みぃみの日々徒然日記☆]
平成24年3月12日(月)。 映画:「おかえり、はやぶさ」。 【監 督】本木克英 【脚 本】 金子ありさ 【キャスト】 藤原竜也 (大橋健人)・杏 (野村奈緒子)・三浦友和 (大橋伊佐夫) 前田旺志郎 (岩松風也)・森口瑤子 (岩松多美)・田中直樹…... [続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 16時35分
» おかえり、はやぶさ [Akira's VOICE]
宇宙のワクワク感に包まれる3Dが良い!
[続きを読む]
受信: 2012年3月12日 (月) 17時08分
» おかえり、はやぶさ [とりあえず、コメントです]
各社競作企画映画“はやぶさ”の松竹版です。 これまでの「はやぶさ/HAYABUSA」「はやぶさ 遥かなる帰還」と観て来たので、 どうせなら今作もチャレンジしようと決めていました。 親子の絆を絡めながら、はやぶさの偉業を子供にも分かるように丁寧に伝えてくれる作品でした。 ... [続きを読む]
受信: 2012年3月13日 (火) 08時42分
» 『おかえり、はやぶさ』 ('12初鑑賞31・劇場) [みはいる・BのB]
☆☆★-- (10段階評価で 5)
3月10日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター4にて 16:20の回を鑑賞。 [続きを読む]
受信: 2012年3月16日 (金) 21時52分
» 『おかえり、はやぶさ』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「おかえり、はやぶさ」□監督 本木克英 □脚本 金子ありさ □キャスト 藤原竜也、杏、三浦友和、前田旺志郎、森口瑤子、田中直樹、 宮崎美子、豊原功補、大杉 漣、中村梅雀■鑑賞日 3月11日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの...... [続きを読む]
受信: 2012年3月17日 (土) 07時52分
» おかえり、はやぶさ(3D) [食はすべての源なり。]
おかえり、はやぶさ
★★★☆☆(★3つ)
小惑星のイトカワからサンプル採取という快挙を達成し、60億キロ約7年に及ぶ宇宙の旅から帰還した小惑星探査機「はやぶさ」の挑戦を、JAXAのエンジニアの視点を通じて全編3Dカメラで撮影された最新映像でつづる感動作。
なぜ観に行ったかって?
それは、藤原竜也くんファンだからです。。。¥落とさないと!(苦笑)
映画自体への期待が高くなかったせいか、楽しめました。
映画っていうより、科学館で上映している視覚教材みたいでした。わかりやすい解説映画?
そのせ... [続きを読む]
受信: 2012年3月18日 (日) 21時46分
» 「おかえり、はやぶさ」 着眼大局、着手小局 [はらやんの映画徒然草]
「はやぶさ」のエピソードの映画化作品、こちらは松竹版になります。 結果から言って [続きを読む]
受信: 2012年3月19日 (月) 23時41分
» 『おかえり、はやぶさ』 [ほし★とママのめたぼうな日々♪]
「はやぶさ映画」四本目、いよいよアンカーの登場です。 『おかえり、はやぶさ』(公式サイト)を観て参りました。 [続きを読む]
受信: 2012年3月20日 (火) 08時13分
» おかえり、はやぶさ [だらだら無気力ブログ!]
はやぶさ3作の中でダントツのつまんなさ。 [続きを読む]
受信: 2012年3月24日 (土) 00時10分
» 「おかえり、はやぶさ」:競作の中でビリ [大江戸時夫の東京温度]
劇映画版「はやぶさ」競作の第3弾『おかえり、はやぶさ』を3Dで観ました。 ドキュ [続きを読む]
受信: 2012年3月25日 (日) 00時19分
» 『おかえり、はやぶさ』 [シチュー鍋の中の混沌の弐]
『はやぶさ』映画マラソン最後の一本、松竹版です。
2Dレディースディで観てきました。3Dはいらないし、安く観たいと思ってたので。
一言で言えば
「なんだ、普通に楽しめたじゃん」。
やっぱり予告編が悪いな!w
『子供がはやぶさに乗ってる』ヴィジュアルへのマイナスイメージは、相当キてますね(笑)。でも何も知らず、本編でいきなり見せられてもにょるよりマシかと!
... [続きを読む]
受信: 2012年3月26日 (月) 00時30分
» 『おかえり、はやぶさ』(2012) [【徒然なるままに・・・】]
小惑星探査機<はやぶさ>を題材にした3本目の実写映画。
真打ち登場、と言いたいところだけど、こういうものは旬が大事、早い者勝ちって部分が少なからずあると思う。
3本の中で一番フィクション要素が強いのかな、もはや<はやぶさ>じゃなくても良くなってきてる。
主人公がプロジェクトの中心人物ではなく、かといって他所者でもないという中途半端さは、他の2本との差別化の意味では面白いのだけど、自信過剰で大言壮語する嫌なヤツで、確かに能力はあるんだろうけど一緒のチームで仕事はしたくないよな、というタイプ。... [続きを読む]
受信: 2012年4月 8日 (日) 14時44分
» 『おかえり、はやぶさ』を新宿ピカデリー7で観て、そこはメイド服だろ杏ちゃんふじき★★ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【★★いや、別に何を期待して見に行った訳でもないし】
何をどう勘違いしたのか、
チケット屋で安値前売券を買った時は成島出監督作品だと思ってた。
あにはから ... [続きを読む]
受信: 2012年4月15日 (日) 00時34分
» 映画「おかえり、はやぶさ」@チネチッタ [新・辛口映画館]
この劇場での最終日の夕方、2人のお子さんを含む20名弱くらいの寂しい客入りだ。 [続きを読む]
受信: 2012年5月28日 (月) 22時39分
» 映画:おかえり、はやぶさ [よしなしごと]
3つの制作会社がそれぞれの視点と思いで惑星探査機・はやぶさを映画化し、今回は松竹が描いた作品、唯一3Dで作られたおかえり、はやぶさのレビュー記事です。ただし鑑賞は2Dで。... [続きを読む]
受信: 2012年6月18日 (月) 04時36分
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