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2012年4月19日 (木)

未来世紀ブラジル/Brazil

Photo_2 1985年に制作された奇才テリー・ギリアム監督のカルト作品だ。ファンタジックな世界観ではあるがその実未来ではなく現代であったりする。情報に支配されマニュアルに縛られる現代社会への痛烈な皮肉を伴った作品は、だからと言って単純なハッピーエンドは迎えない。主演は『ベッドタイム・ストーリー』のジョナサン・プライス。共演のロバート・デ・ニーロの役柄にも注目だ。
>>allcinema

デジタルでアナログな世界が既に皮肉だ

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映像、ストーリーともに奇才テリー・ギリアムらしい作品だ。だがそれだけに好みは大きく分かれるというのも良く解る。ただ個人的にはこの世界観、魅力に惹き込まれてしまった。一見近未来風に見える世界でありながら、その実そこに登場する数々のガジェットがもつやけに古臭いアナログさがいい。例えて言うならコンピュータではなく電算機とでもいうか…。実際登場するパソコンもその昔のモノクロテレビ受像機の中身のようだし、郵便を送るのも伝声菅の中を丸めた紙が行き来するといった感じなのだ。作品のテーマはシステムにより全ての情報が完全に管理されている世界に対する痛烈な皮肉だが、つまり物語のベースとして完全さをアナログ的ガジェットで描いているのが面白いのである。

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そもそも事件の発端からしてシニカルだ。情報省の役人がハエを叩き落したら、それがタイプライターに巻き込まれ、容疑者の名前“Tuttle”(タトル)が“Buttle”(バトル)になってしまうのだが、その過ちに気付かないまま、バトルさんちのパパを逮捕してしまうのである。どんなにシステムや道具が進歩してもそれを使うのは人間であることをまず大前提として訴えているこの序盤は、言って見れば作品そのものの軸と言って良い。さて、そこで登場するのがこの物語のキーとなる2人の人物だ。1人はバトルさんの家の上の階に住むトラック運転手の女性ジル(キム・グライスト)、そしてもう1人が主人公で情報省記録局の局員であるサム(ジョナサン・プライス)である。

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実はサムが夢の世界であこがれる女性はジルにソックリなのだが、奇しくもサムがバトルの家に出かけた際に彼女と遭遇してしまう。ここから物語は本来逮捕するはずだったテロリストであり、モグリの修理屋であるタトル(ロバート・デ・ニーロ)を交えて格段に広がりをみせていくことになる。それにしても随所で描かれるナンセンスでブラックな笑いは、テリー・ギリアム独特の感覚で他に類を見ないものだ。サムの母親の若返り手術のエピソード、その母親が裏から画策して息子を出世させようとするエピソード、はたまたタトル登場のきっかけとなる、サムの家の空調が故障するエピソードと、テンポ良く展開されながら、そのどれもが無理なく少しづつ繋がって来るようになっている。

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結局情報省としては誤認逮捕などあってはならないワケで、その全てを知るジルを捕らえて消してしまえばミスは無かったことになる。そこで彼女を追うことになるのだが、サムは愛する人を救うために情報省を裏切ることに。こう書くといとも簡単に裏切ってしまうように見えるけれど実際はそうではない。そこに辿り着くまでのサムの描写を見ていると解るのだが、実は彼は自分でも気付かないうちに“管理”に対するアンチテーゼ的存在となっている。例えば母の過保護から逃れ、敢えて情報相の閑職である記録局に居残り続けたり、規則に縛られて空調の修理に来てくれないセントラルサービスに怒り、即座に対応してくれるタトルに好意を持つといった姿から彼の本質が垣間見えるのだ。

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ところが!この作品最大の皮肉が最後に待っていた。ジルを助け出してやっと心が通じ合えたのも束の間、彼は情報省に捕らえられてしまう。ジルを逃がした罪だけでなく、仕事上必要であった彼の数々の行いも全て犯罪とされてしまうあたりは、まるで日本の官僚社会の出世レース、或いは政治家の権力闘争でも見ているようだ。即ちそこにあるのは“理不尽”。拷問室でジャックに対して拷問が始まろうとしたその時、タトルたちが彼を救出に来る。ジルとも再会しメデタシメデタシ…と思いきや再び場面は拷問室に…。結局管理社会からはどうあがいても逃げられないというこの悲劇。全編に漂うブラックジョークがジョークでなくなった時、私たちは現実に自分たちが生きる世界を顧みてしまうのだ。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:なんで鎧兜の大魔神?(苦笑)
総合評価:79点

作品情報
キャスト:ジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロ、イアン・ホルム、キム・グライスト
監督・脚本:テリー・ギリアム
脚本:トム・ストッパード、チャールズ・マッケオン
撮影:ロジャー・プラット
音楽:マイケル・ケイメン
原題:BRAZIL
製作国:1985年イギリス・アメリカ合作映画
上映時間:135分

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