突然、みんなが恋しくて/Et soudain tout le monde me manque
|
悪く言えば浅い、良く言えば軽い |
あらすじ
←みなさんの応援クリックに感謝デス
何はともあれメラニー・ロランはとてつもなく美しい。そしてそんな彼女を見ることに一番の価値を感じた、そんな作品だった。お話に関して言えばまあそこそこと言った所か。それなりにハートフルな作品ではあるけれど、だからといって特筆すべき何かがあるわけでもない。一応本作ではフランスにおける結婚・離婚・再婚・養子といった、男女の結びつきに関する自由ではあるけれど、それが故に生じる問題をテーマに扱っていた。主人公のジュスティーヌ(メラニー・ロラン)は父親エリ(マイケル・ブランク)を嫌っているのだけれどそれには理由がある。一つには若いころバンドマンとして世界中を飛び回り、自分に優しく接してくれることが少なかったからだ。
そしてもう一つが、エリの離婚と再婚にある。オマケに今頃になってその継母と父の間に子供が出来たというのだ。それにしてもジャスティーヌ程のいい大人がやけに子供っぽい理由で父親を嫌ったものだというのが第一印象だった。往々にして仕事の忙しい父と子供の間の心のすれ違いは存在するし、離婚と再婚による子供の戸惑い、特に女の子のそれは確かに同情する点は多いけれど、長じるにしたがってそのへんの事情は理解するものなのだ。まして妊娠に関しては、例えばこれが日本ならば「いい年して…」となるところだけれど、フランスである。何も悪いことをしている訳でもなく、単に感情のもつれから素直に受け入れられないというワケだ。
ささくれ立ったようなジャスティーヌに比べてエリは実に懐が広く自由人。流石はもとアーティストなだけはある。何しろ彼女の元彼の全てに声を掛けゴルフへと誘い、その内2人を自分の服飾店で雇ったりしているのだ。一見変だと思えるかもしれないが、むしろ娘の彼氏だから付き合っていて、別れたら付き合わないというほうが人として不自然だと思う。何故なら一人の人間としてエリが気に入った誰と交友関係を持とうがそれは自由なはずだから。恐らく最初は娘への愛情から、どんな男かが気になって声を掛けたのであろう事は想像に難くない。しかしそこから普通の友人関係へと発展してゆくかはエリだけでなく相手のあることであり、実際発展しているのだから大したものではないか。
それに気付かないジャスティーヌに違和感を禁じえないのは自分が年をとった証拠かもしれないが…。一応彼女もそんな父親の血を引いており、アーティストとしての片鱗を見せてくれる。それが彼女の職場であるX線クリニックの機械をこっそり使って撮ったレントゲン写真アートだ。継ぎはぎで人の骨格を形成するだけでなく、冷蔵庫の中身をそのまま撮影したりするのだが、これが完成品を見ると結構ユニークだった。父から娘に受け継がれた芸術センス、それが幸か不幸か父の病を発見することになる。エリの胸部レントゲンで心臓の疾患に気がついた彼女、医者の診断では手術が必要な病だった。しかし、彼はジャスティーヌにそれを秘密にする。とことん娘思いの父の姿がそこにはあった…。
この後、残念ながら最終的にエリは亡くなり、亡くなった後に自分に対する父の深く大きな愛情にジャスティーヌが気付き後悔するというパターンは、極ありふれた展開でちょっと物足りない。というよりこの作品全体の掘り下げがそもそも浅くアッサリしているため、訴えようとしているテーマを訴求する力が少し弱いと思うのだ。決して悪い話ではないのだけれど。エリの葬儀には劇中にフィーチャーされた元彼たちだけでなく、ジャスティーヌの元彼全てが登場するのだが、これがまた凄い人数。一体何人と付き合ってきたんだよと思わず笑ってしまいそうになった。同時に隣にいる今彼が明らかに動揺しているのも面白い。それでも「父のゴルフの誘いを断ったのはあなただけよ」の一言で満足してしまうのだからやはり男など他愛もないものだ(苦笑)
個人的おススメ度3.0
今日の一言:メラニーを観ているだけでいいかなw
総合評価:63点
作品情報 |
| 固定リンク
最近のコメント