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2012年4月20日 (金)

KOTOKO

Kotoko 我が子を愛するが故に精神のバランスを崩してしまった母親、そしてその母親の歌う唄に魅せられてひたすら献身的に愛を捧げる男の2人を描いた人間ドラマ。大人気シンガーソングライターのCoccoと鬼才・塚本晋也監督がタッグを組み、出演もこの2人が務めている。他にもプロデュース・企画・脚本・撮影・編集を塚本晋也、企画・原案・美術・音楽をCoccoが担当した。
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素晴らしいCoccoの芝居と歌声

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塚本晋也監督の作品は『鉄男 THE BULLET MAN』しか観たことがないのだが、正直言って好きではない。従ってこの作品もあまり観る気はしなかったのだが、Coccoが主演しているということで鑑賞してみた。結論から言うと、相変わらず塚本演出は好きになれない。どこがどうと言うより生理的に合わないらしい。ただCoccoが女優としてこんなに見事な演技を見せてくれるとは思いもしなかった。当然ながら塚本監督は俳優としても著名だが、この作品のCoccoは彼を凌いでいたと思う。とにかくCoccoと琴子のシンクロ具合が半端じゃない。しかも琴子の魂があまりにもむき出しで、それが醜い方向、狂気に捕らわれた方向に出すぎると観ているこっちの心も共鳴するかの如く不愉快になってしまう。

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彼女は人が二人に見える。道ですれ違った女性が笑顔で挨拶する姿、そこに醜い本音をぶつけてくる同じ女性が同時に存在する。無論それは彼女が精神的に病んでいるからなのだが、もしかしたら彼女が人の心を具現化して観ることが出来る能力でもあるのではないかと思ったりもした。いずれにしても序盤は狂ったように喚きまくる琴子の姿をゲンナリするほど見せ付けられ、これから1時間以上この狂った女を見続けなきゃいかんのかと暗澹たる思いになったのは事実だ。ただ観ているうちに段々と琴子が哀れにも思えてきた。彼女はリストカットを繰り返すのだが、それは死にたいからではなく生きたいからだと言う。残念ながら私にはちょっとその気持ちは理解できない。

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ただ、あまりに純粋でむき出しの精神は外的な醜さに耐えうる術を持たず、その心を維持するがために肉体を傷つける必要はあるのかもしれない。一人息子・大二郎を愛するがあまり、自らの目に映る醜い世界から彼を守ろうとする彼女。しかしそれはとりもなおさず、彼女自身を大二郎の盾にすることに他ならず、琴子はより一層精神的に追い込まれて行くことに…。やがてその異常性故に彼女は幼児虐待を疑われ、大二郎は一時的に沖縄に住む姉夫婦の下に預けられることに。仕方のないこととはいえ、彼女の悲しむ姿をみると、それが果たして良い判断だったのかどうかに疑問すら感じてしまった。そんな彼女が唯一全てから解き放たれるのが歌っている時だった。歌唱シーンは圧巻だ。

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そちらが本職なのだから当然といえば当然だが、琴子の心がそのまま紡がれたかのような美しくしかし哀しい歌声が心に響く。そしてその歌声に魅せられたのは観客だけでなく田中(塚本晋也)もだった。売れっ子作家の田中はなんと彼女をストーキングし、一途な想いを彼女にぶつける。この辺がどうも好みではない演出なのだが、彼女はそんな田中を相手にせず、それどころかフォークで彼の手を貫いてしまったりするのだ。しかし田中はそんなことは気にならないとばかりに彼女への一途な愛を抱き続ける。両手をフォークで貫かれても笑っていられるその姿は磔刑に処せられたイエス・キリストを想像させるのだが、そのあざとさも気に入らない。

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田中はやがて彼女のアパートに引っ越してくる。そして彼女の抱えた罪を一手に引き受けるが如く彼女の暴力に身をさらすのだ。「大丈夫ですから」と言いながら一方的に殴らせる田中はその身に彼女の毒を引き受けるかのようにも見えた。しかしながらその毒は琴子の唄によって中和される。と言っても、唄っている時の琴子はどうみてもCoccoにしか見えないのだけれど。映画としては役と演じている人が乖離してしまうのは必ずしも良いことではないと思うが、どちらもホンモノである場合に限りそれはその一点で成立してしまうような気がする。最初にも書いたが、総じて塚本テイストは好きではない、しかしこのCoccoの凄まじい芝居と素晴らしい歌声はスクリーンで観るに値すると思う。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:琴子って何で琴子なんだろう
総合評価:71点

作品情報
キャスト:Cocco、塚本晋也
監督:塚本晋也
製作:塚本晋也
企画:Cocco、塚本晋也
原案:Cocco
脚本:塚本晋也
音楽:Cocco
美術:Cocco
撮影:塚本晋也、林啓史
編集:塚本晋也
音響効果:北田雅也
製作国:2011年日本映画
配給:マコトヤ
上映時間:91分
映倫区分:PG12

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