オレンジと太陽/Oranges and Sunshine
| 醜い過去…といってもついこの間のこと |
あらすじ ![]()
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強制児童移民…そもそも言葉の意味が解らない。私の概念の中では移民は自ら希望して行うもので強制されるものではないからだ。海外では例えば両親が健在だとしても、様々な理由によって孤児院に入れられる子供は多い。英国ではそうした子供たちを強制的にオーストラリアに移民させるという非人道的な行為がなんと1970年まで実際に行われていたというのだ。その孤児たちの家族捜しをする一人のイギリス人女性マーガレット・ハンフリーズ(エミリー・ワトソン)の姿を描いたのが本作である。何故そんなことが行われたのかは細かくは説明が無いが、要は植民地政策のひとつとしてということらしい。物語は社会福祉士をしているマーガレットにとある女性が相談を持ちかけたことから始まる。
その女性シャーロットの口から初めて強制児童移民の話を聞いたマーガレットはにわかに信じられないのだが、続いてニッキーと言う女性からも似た話を聞くことになる。しかも彼女の場合はオーストラリアの弟から手紙が来たというではないか。調査してみると、シャーロットの母親が生きていて、母親自身も娘がオーストラリアに送られたことを知らなかったことが判明する…。オーストラリアに住むニッキーの弟ジャック(ヒューゴ・ウィーヴィング)を訪ねるマーガレット。そしてそこで初めて彼らのような強制児童移民だった人々が沢山いることを知ることになる。名前も変えられ親すらも知らない、そんな彼らの願いは唯一つ“自分が誰なのか”ということだった。
その昔どこぞのサッカー選手が自分探しの旅と称して世界中を旅していたが、本当の意味で己のアイデンティティを持たない人々の気持ちとはいかばかりか…。私には到底想像もつかない。しかも彼らはオーストラリアに到着すると教会に集められ、農場や教会建設の強制労働を強いられたり、性的な虐待までも受けていたのだ。繰り返すがこれは1970年まで行われていて、この物語の当時である1986年時点ではまだ児童だった移民がいたのである。例えば第二次世界大戦当時の政府に絡む負の遺産という話はよく聞くが、私自身が実際に生きていたあの子供の時代にと思うと、その哀しい現実感が胸に迫ってくるというものだ。マーガレットは彼らから話を聞き、彼らの家族を探す活動を始める。
やがて彼女は児童移民トラストを設立し、英豪両国で社会に対してこの現実を訴えかけて行くようになるのだが、当然ながら非難の対象となる国や教会からは煙たがられることに。とにかく観ていて一番気になったのは、あまりにも多くの人々の悲しみを一身に背負い過ぎだということだった。いや、悲しみだけでなく一部の人々からは憎しみまでも受けているのだ。おまけに英国と豪州を行き来する生活は家族を犠牲にせざるを得ない。「自分の家族を犠牲にしているあなたに人の家族のことをいう資格は無い」と皮肉られた時の彼女の心の痛みはあまりに切なく哀しい…。様々な要因が重なった上、夜に教会の信者から脅されたのをきっかけに、彼女はPTSDになってしまう。
夫のマーヴィンも必死で彼女を支えているけれど、どう観ても彼ら2人に負わせるには重すぎる負担だ。彼女にだって何か報われるものがあって欲しいと思わずにいられない。そんな時、シャーロットとその娘がマーガレットの自宅を訪れ、写真に写った彼女たち母娘が似ていると言われたことを心から喜ぶ。傍からみれば他愛もないことだが、このシーンはマーガレットならずとも救われるというものだろう。再び仕事に復帰した彼女は、相談者の一人、レン(デイヴィッド・ウェンハム)に彼らが幼い頃収容されていた教会へと案内される。食事をする神父たちとマーガレットの対峙する緊張のシーン…ばつが悪そうな彼ら、お茶を所望するレンたちにつまらない嫌がらせをする姿は皮肉にも聖職者というより子供のようだ。
そんな彼らに彼女が放った痛烈な言葉が忘れられない。「私が恐ろしい?恐ろしくは無いわよね、あなたたちは“大人”だもの。」本作の撮影中、2009年11月16日にオーストラリアのケヴィン・ラッド首相が、2010年2月24日にイギリスのコードン・ブラウン首相がそれぞれこの件に対して公式的に謝罪したそうだ。
個人的おススメ度
4.5
今日の一言:息子もいい作品作るなぁ
総合評価:85点
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