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2012年4月11日 (水)

誰も知らない基地のこと

Photo 世界各国に700以上の軍事基地を持つアメリカ軍。日本では普天間基地の移転問題が最も著名だが、それだけでなく各地で様々な問題が発生していた。本作では普天間基地も含めイタリア・ビチェンツァとディエゴ・ガルシアの両基地に関わる住民の声を取り上げると共に様々な学識者の声も聞き、アメリカ軍の基地の何が問題なのかを明らかにしてゆく。監督はエンリコ・パレンティとトーマス・ファツィ。
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どうして一方的なんだろう

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世界各地に700以上の駐留米軍基地があるとは初めて知った。日本では沖縄普天間基地の移転問題が大きく取り上げられているが、それは世界の中の一つに過ぎず、実は他にも似たように基地の不要・撤退を求める住民の声が上がっている。劇中で駐留米軍基地の持つ意味や、どうしてそれが必要なのかということを細かく説明してくれるのだが、おおざっぱに一言で言えば、それはアメリカの軍産複合体がそれを必要としているからだという所に落ち着くらしい。ただし全否定するわけではなく、第二次大戦終了後から東西冷戦にかけての駐留米軍基地にはその意味を認めていた。世界地図で駐留米軍の位置マークすると、敗戦国のドイツ・イタリア・日本に集中しているのが解る。

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ヨーロッパと東アジアでソ連を挟み込むように共産主義と対峙するという意味では、確かにこれは必要不可欠だったのだと地政学的にも納得だった。ところが冷戦崩壊後からこの駐留米軍基地の意味合いが迷走を始める。要するに本来不要で全廃すればいいものを、既に軍産複合体としての既得権益を守るために、無理矢理対立軸を設けて基地の維持を図っていると言うのが本作の言い分だ。結果として割を食うのは力なき庶民であり、接収された自分の土地の返還を求めて戦い続ける沖縄のご老人、これ以上基地を増やさないために座り込みをライフワークとするご老人、イタリアでも基地不要のデモ行進が起こり警官隊と揉めるすがたが映し出される。が、私はその全てに同意は出来ない。

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特に日本の場合は集団的自衛権はあっても行使できないなどと言う意味不明な解釈をし、大義名分としては軍隊は存在しないことになっている。要するにいざ何かがあったときには何も出来ないということだ。この状態で私は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」は出来ない。この場合、戦争が是か非かなどということはそもそも議論にはならない。現実的にそこにある。北朝鮮がミサイル実験をし、沖縄の方向に向かって撃とうとしているときに、自国を守る方法として米軍の力が必要だというのならば喜んで使えばよい。それが不要だというならば自力で守る力を持つしかない。米軍もイヤ、軍隊は持たない、でも平和は望むという人と私は相容れない。

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そこを差し置いてイタリアやドイツを含めた諸外国と日本を同じには語れないと思う。しかし一方で、だからと言って沖縄県民を含めた基地のある地域に一方的に押し付けるかの如き政策には賛成できないのも事実だ。それは理屈とは別に人間として、同じ日本国民として心苦しい。だからこそ、基地がある代わりに何が出来るのかを考える必要がある。戦争の是非であるとか、軍産複合体であるとか、そもそも日本一国でどうすることも出来ないような問題はそれは無視して受け入れれば良い。その代わり、日本という国が日本国民である基地周辺住民に何が出来るのかを考えた方がよほど道は開きやすいのではないだろうか。現実に基地はある。近々それを無くす事は不可能なのだから。

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それにしても運動家や駐留米軍に批判的な識者の意見はもちろん解るのだが、そうではない賛成側の意見も同じぐらいに見せないのはアンフェアに感じる。多少は登場したが、理論的とは程遠いエキセントリックな語り口調で、どうもハナから駐留米軍は悪であり、無くすべきだという結論にたどり着かせるように誘導する作りを観ていると、まるで日本の夕刊紙のようだ。例えば優れたドキュメンタリーである鎌仲ひとみ監督の『ミツバチの羽音と地球の回転』は、原発賛成派の意見や実情までもキッチリ描いた上で作品全体としては反原発を打ち出すことに成功している。そうしたフェアな見せ方をして始めて作品が説得力をもってくるもので、この作品のやり方はむしろ損をしていると思う。

個人的おススメ度2.5
今日の一言:今の日本に駐留米軍は必要なのが現実
総合評価:59点

作品情報
キャスト:ゴア・ビダル、ノーム・チョムスキー、チャルマーズ・ジョンソン
監督:エンリコ・パレンティ、トーマス・ファツィ
撮影:エンリコ・パレンティ
編集:デジデーリア・ライネル
音楽:ステファノ・ピロ
原題:Standing Army
製作国:2010年イタリア映画
配給:アンプラグド
上映時間:74分

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受信: 2012年5月 9日 (水) 09時11分

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