ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン/Bridesmaids
あらすじ
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オスカーの脚本賞にノミネートされたコメディドラマ。流石に声を出して笑ってしまうほど面白かった。が、125分はちと長い。観終わった後は少々疲れてしまったのだが、それは時間もさることながら本作が単なるコメディドラマではないからだ。それにしてもこの邦題、明らかに『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のパクリである。恐らく日本ではあまり馴染みの少ない原題「ブライズメイズ(花嫁介添人)」ではインパクトがないということもあるだろうが、こういうことをされると知っている人間にとってはヒット作のおこぼれに預かろうとしているように思えてしまう。確かに出演している女優も日本では一般的な知名度は殆どないだけに売り方は難しいとは思うのだが…。
物語の軸となるのは花嫁の親友アニー(クリステン・ウィグ)だ。彼女と花嫁リリアン(マーヤ・ルドルフ)は幼い頃からの親友で、結婚の報告と共にブライズメイズたちのリーダーであるブライズメイズオーナーを頼まれる。ところがこの時アニーはどん底だった。全財産をかけたケーキ屋はつぶれ、結果恋人は逃げ、母親の紹介で勤める貴金属店では幸せな顔をした人々の接客をする毎日。親友の結婚は心から嬉しいのだけれど、無意識のにうちコンプレックスを感じてしまう気持ちは良く解る。彼女以外のブライズメイズたちだが、それぞれのキャラクターが立っていてユニークだ。このブライズメイズ内でのアニーの立ち位置に工夫があるのが脚本的に上手かったと思う。
花婿の上司の妻ヘレン(ローズ・バーン)、リリアンの従姉妹で3人の息子を持つリタ(ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ)、新婚のベッカ(エリー・ケンパー)、花婿の太めの妹メーガン(メリッサ・マッカーシー)…特にヘレンが彼女の気持ちをかき乱す。何しろ彼女ときたらアニーの持っていないもの全てをもっている(とアニーは思っている)のだ。他のメンバーもメーガン以外は結婚し生活にも困っていない。人並みの悩みはあるものの、それはベースとなる生活が充実しているからこそ感じるものなのだ。しかし!アニーが持っていてヘレンがもっていない(とアニーが思っている)ものが1つだけあった。それはリリアンの“一番の親友”の座である。
アニー以外からすれば他愛も無いことだが、今の彼女のアイデンティティを支えているのはそれしかなかった…。にも関わらず、ヘレンはそこに土足で上がりこむようなマネをする。この2人の微妙な心の距離感、神経戦の部分を下世話なコメディに絡めて表現しているところに本作の脚本の秀逸さがあると思う。結婚式の方向性を決めたり、店を決めたり、ドレスを決めたり…客観的には全てアニーのやることをヘレンは上回る。無論ヘレンとてリリアンが一番喜ぶようにとの想いなのだが、今のアニーにそこまで相手のことを考える心の余裕がないのだ。澱の様に溜まって行くストレス。そしついに独身旅行で彼女は大失敗をする。観ている方としては大爆笑で本作の見所の一つなのだが(笑)
ところでそんな彼女の余裕の無さを客観的に計る軸として2人の男が登場する。ローズ巡査(クリス・オダウド)とケヴィンだ。アニーはたまたま取り締まられたことでローズと知り合うのだが、上手く付き合えそうでそうはならない。そこには体だけの関係を公言するケヴィンとの付き合いも影響している。要するにともすればヘレンが一方的に嫌な女に見えてしまうところを、原因の一端は、というより大半はアニーにもあるのだということを男性の存在を使って表現しているということだ。旅行の一件でブライズメイズオーナーを降ろされ、パーティーの席で自分が手作りの質素なプレゼントしか渡せないのに、ヘレンはリリアンが以前から憧れていたパリ旅行をプレゼントしたことで遂にアニーはキレる。
この時、彼女は唯一の心の支えだった“一番の親友”の座すらヘレンに奪われてしまったと感じたのだ。暴れまわる彼女の姿はあまりに哀しい。プレゼントは金額ではなくて心を渡すもの、その時その人が出来る精一杯の真心を込めれば良いだけで、リリアンにしてみたらパリ旅行だからヘレンが“一番の親友”だなんてことがあるはずがない。幼なじみの親友の気持ちすら解らなくなっていたアニーの気持ち、しかし人間誰だってそんな理屈だけでは生きていないのも事実で、だから私たちはアニーの哀しみに心をザワつかされる。全ての思いのたけを吐き出した彼女の姿は正に“白”という感じ。しかし、だからこそそこに一から新しい絵を描き始められるのだ。
それを感じさせるラストシークエンスの落ち着きは心地良かった。おかしな例えだが、酔っ払って気持ち悪くなってトイレで全部吐いた後みたいな感じちうか…(苦笑)結局のところ本作はコメディ映画とされているけれど、アニーの心の機微を見事に描き出した人間ドラマであり、表現の手法としてコメディを使っているだけだと思う。
個人的おススメ度4.0
今日の一言:これ続編できないかなぁ…
総合評価:76点
作品情報 キャスト:クリステン・ウィグ、マーヤ・ルドルフ、ローズ・バーン、ウェンディ・マクレンドン=コービー、エリー・ケンパー、メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウド 監督:ポール・フェイグ 製作:ジャド・アパトー、クライトン・タウンゼント、バリー・メンデル 製作総指揮:ポール・フェイグ 脚本:アニー・マモロ、クリステン・ウィグ 撮影:ロバート・イェーマン 美術:ジェファーソン・セイジ 編集:ウィリアム・ケアー、マイク・セール 音楽:マイケル・アンドリュース 原題:Bridesmaids 製作国:2011年アメリカ映画 配給:東京テアトル 上映時間:125分 映倫区分:R15+ |
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「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」ヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞
2012-044
GW中のハッピーフライデーだったせいか朝一のチケット買うのに長蛇の列。
(朝一と言っても11:45ですが)
朝一は予告がないので
着席した時にはいきなりタイトル出てました。
たぶん5分くらい見逃していると思います。
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Data 原題 BRIDESMAIDS 監督 ポール・フェイグ 出演 クリステン・ウィグ
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BRIDESMAIDS
女友達は、最高だ。
上映時間 125分
製作国 アメリカ
公開情報 劇場公開(東京テアトル)
初公開年月 2012/04/28
ジャンル コメディ
映倫 R15+
【解説】
「40歳の童貞男」「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」の
ジャド・アパトー製作、「サタ...... [続きを読む]
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ウェンディ・マクレンドン=コービー、エミリー・ケンパー、
メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウド出演
ポール・フェイグ監督、
125分、2012年4月28日公開
2011,アメリカ,東京テアトル
(原題/原作:Bridesmaids )
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受信: 2012年6月25日 (月) 15時35分
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