GIRL ガール
奥田英朗原作の人気小説を『神様のカルテ』、『60歳のラブレター』の深川栄洋監督が映画化。アラサー、アラフォー女性が恋愛、仕事、結婚、子育てなどの悩みを抱えながらも失敗を重ねながら成長して行く姿を描いたガールズドラマだ。出演は香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏。共演にも上地雄輔、要潤、林遣都、向井理、檀れいといった豪華なメンバーが揃う。 >>公式サイト |
5月26日(土)公開 |
あらすじ
←みなさんの応援クリックに感謝デス
主演している香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子が好きな私としてはそれだけで必見の作品…というえらくミーハーな理由で鑑賞したのだが、これが映画として結構面白かった。深川栄洋監督の作品は直近の『神様のカルテ』を始めとして割と観ている方だが基本的に相性が良い。今回はタイトルからも解る通り女性の物語、それも現代日本の多くのアラサー女性が抱えるスタンダードな悩みにスポットを当てて彼女たちの気持ちを描き出していた。メインの4人の女性の視点が次々と変わりながら描かれる群像劇は基本的に混ざり合わないのだが、時々開かれる女子会のガールズトークが中々面白い。ちなみに4人はそれぞれこんな感じの女性たちである。
由紀子(香里奈) 大手広告代理店勤務。彼氏アリ。「女の子はいくつになってもお姫様」がモットー。しかしそれで立てた企画がクライアントに却下される。29歳はもう女子じゃないの? |
武田聖子(麻生久美子) 不動産会社勤務。34歳。夫はいるが子供はなし。課長に昇進するも年上の男の部下と上手く行かない。まったく男の下らないプライドなんて! |
小坂容子(吉瀬美智子) 文具メーカー勤務。独身。彼氏ナシ。ひと回り年下のイケメン新入社員の教育係に任命される。もう結婚なんて…と思っていたのに…。ひと回り年下でなにがいけない! |
平井孝子(板谷由夏) 自動車ディーラー勤務。36歳。6歳の息子を持つシングルマザー。仕事も子育ても全力投球だけど、いつの間にやら空回り。頑張っちゃいけないの? |
由紀子の「女の子はいくつになってもお姫様」は個人的には全く問題ないと思う。もちろん似合っていれば。29歳だろうが40歳だろうが自分を女子と呼ぶことにも何ら抵抗は感じない。が、TPOをわきまえた服装をするのが分別ある大人のスタイルだし、それを自分のポリシーをたてに無視してヒラヒラレースのお洋服を着てくるのは似合う似合わない以前にただのバカだ。従って物語序盤の由紀子がそんな洋服でクライアントに企画説明に行き、その企画を却下されるのは当たり前である。ここで実に上手いのが檀れいのポジションだった。彼女が演じる光山晴美は外見は由紀子と同じような洋服だが、彼女はそれを全て計算づくでやっている。もちろん“好き”が根底にあるのは間違いないが。
その服装で自分のキャラクターを確立し、それを武器に仕事をまとめる。つまり晴美にとってはファッションは単にオシャレではなくその武器を輝かせるアイテムなのだ。何も考えていない由紀子との差が際立つ演出だった。聖子の場合はもっと話は単純で、年下の女の上司に従えない男などそもそも話にならない。そもそも上司と部下はそれ以上でも以下でもない。女だからとか男だからと言うのは仕事とは何の関係もない話だ。それにしてもこの手の嫌らしい男をやらせると要潤はピッタリだと思う。『神様のカルテ』や『ワイルド7』でもイケメンなのだけれど単純にイケメン担当ではなく、一癖もニ癖もある役を演じていて、今回も彼の俳優としての懐の広さがうまく活かされていた。
それにしても由紀子や、今井哲夫(要潤)のような人間は実社会にも確実にいるはずで、こういうバカたちがいるから男がどうの女がどうのという話になってくるのだと思う。容子の立場はこの2人と少々違って男には中々理解しづらい悩みだ。仕事命で婚期を逃し、それでも親にはいつ結婚するのかと言われ、本人だってそれは痛いほど良く解っている…。流石に今は結婚したら仕事は辞めろ的風潮はないのだから、ひと回り年下だろうと好きならアタックあるのみだと思うのだが…。その辺が男性と女性ではそう簡単に割り切れないのだろう。ただ残念ながら演じているのが吉瀬美智子だけに、その部分で悩むということに説得力はあまり感じられない。彼女ほどの美貌なら何の問題もないだろう(笑)
とりあえず問題の新入社員、林遣都扮する和田に食事に誘われた時の彼女の笑顔は古い言い方だが100万ドルの笑顔だった。最後の一人は孝子だ。彼女のパートではシングルマザーで仕事を持つ女性の苦労が描かれている。彼女は実に一生懸命で好感が持てる。息子にもお母さんの気持ちはしっかり伝わっていた。ただ、頑張るのは良いのだが、人間100%でずっと生きてはいけない。それ以前に、彼女は無理をして両親がいる家庭を作ろうとしている。簡単に言えば一人でお母さんもお父さんもやろうとしているのだ。気持ちは解るがそれは無理。何故なら彼女は女性であり1人だから…。ただそんなことは彼女が一番解っているのだと思う。これに関しては作品自体も何らかの答えを用意していなかった。
というより、自分で気付いてその環境を受け入れるしかないのだから、こればっかりはどうしようもない。さて、物語のクライマックスは2通りある。1つは結局通った由紀子の企画でファッションショーが開かれ、それまで彼女の企画を嫌っていたクライアントの女性・安西博子(加藤ローサ)がオシャレの魅力に気が付くこと。そしてもう1つは聖子が部下の男性をやりこめるところだ。どちらも観ていて気持ちよいのだけれど、問題は別にそれが全てではないということだろう。要するに4人の悩みは他人の悩みだけれど他人事ではないというところがミソで、だからこそ4人が集まる女子会に意味があるワケだ。総じてまだまだ社会は女性に生き辛い部分はあると思うのだけれど、この4人はそんな解りきったことに負けないだけの芯の強さを見せてくれるところが気持ちよい作品だった。
5月26日(土)公開 |
個人的おススメ度4.0
今日の一言:今回は吉瀬美智子の笑顔がMVP!
総合評価:81点
作品情報 キャスト:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、檀れい 監督:深川栄洋 原作:奥田英朗 脚本:篠崎絵里子 音楽:河野伸 主題歌:西野カナ 製作国:2012年日本映画 配給:東宝 上映時間:124分 映倫区分:G |
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: GIRL ガール:
» ガール [あーうぃ だにぇっと]
ガール@東宝試写室 [続きを読む]
受信: 2012年5月20日 (日) 00時59分
» 2011年12月22日 『ガール』 東宝試写室 [気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)]
『ガール』 のモニター試写会で鑑賞。
カップルでとのことで、男女が条件だった。
私は外れたけど、誘われ参加できた
【ストーリー】
を持ってこようと思ったけど、まだ、Cinematodayには登録が無かった(笑)
流石に、5月26日公開なんで・・・
大手広告代理店勤務の29歳シングルの由紀子(香里奈)は、恋人(向井理)はいるもののどうもしっくりいかず、仕事も不調だった。30歳を目前にして焦りばかりが日々募っていく。だが、不動産会社に勤める友人の聖子(麻生久美子)や、文具メーカー勤務の容子(... [続きを読む]
受信: 2012年5月20日 (日) 08時15分
» ガール [うろうろ日記]
試写会で見ました。 【予告orチラシの印象】色んなパターンの女子の紆余曲折を短編 [続きを読む]
受信: 2012年5月20日 (日) 22時31分
» GIRL ガール [象のロケット]
広告代理店勤務・独身・彼氏ありの由紀子、不動産会社勤務・夫あり・子供なしの聖子、文具メーカー勤務・独身・彼氏なしの容子、自動車メーカー勤務・シングルマザーの孝子の4人は、勤める会社も年齢も違うが、なぜか気の合う友達同士。 それぞれ悩みを抱えながらも、時には助け合い励まし合ってきたのだが…。 女たちの群像ドラマ。 ≪きっと、あなたがここにいる。≫... [続きを読む]
受信: 2012年5月22日 (火) 00時39分
» ガール [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。深川栄洋監督、香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、壇れい。ビミョー年齢女子会のオムニバス風コメディ ... [続きを読む]
受信: 2012年5月26日 (土) 20時50分
» ガール [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
ガールクチコミを見る今をときめく女優4人が、働くアラサー女子の悩みと本音に迫る「ガール」。見終わった後にあれこれと会話がはずみそうだ。広告代理店勤務・独身・恋人ありの ... [続きを読む]
受信: 2012年5月27日 (日) 07時57分
» GIRL-ガール [tom's garden]
監督:深川栄洋
出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、壇れい
前売り券を買ってnatsuと鑑賞。
女性キャストがみんなきれいで可愛くて、ファッションも十分楽しめる。
自分と重なるキャラクターは、ワタシもnatsuもいないんだけど、なぜが泣ける映画だった。
んー。
重ならないとは言っても、自分がちゃんと妻が出来てるのか不安だったり、子どもがけなげだったり、似てる部分はあるのかなぁ。
容子が妄想を膨らませるシーンや... [続きを読む]
受信: 2012年5月27日 (日) 17時37分
» ガール/香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏 [カノンな日々]
予告編がポップなガーリームービーという印象だったので後で『半分の月がのぼる空』『60歳のラブレター』の深川栄洋さんが監督していると知ったときは「え?そうなの?」と意外に ... [続きを読む]
受信: 2012年5月27日 (日) 22時30分
» 「ガール」 [みんなシネマいいのに!]
会社も年齢もバラバラなのに仲良しの4人の女性。 広告代理店勤務の29歳独身の由 [続きを読む]
受信: 2012年5月29日 (火) 23時24分
» ガール [映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜]
評価:★★★【3点】(10)
美女4人!これは観ないわけにはいかないぞ(笑)
[続きを読む]
受信: 2012年5月29日 (火) 23時39分
» GIRL ガール [とりあえず、コメントです]
奥田英朗著の同名小説を深川栄洋監督が映画化した群像劇です。 原作は未読だったのですけど、最近やけにあちらこちらで宣伝を見るので、 好きな監督さんだしチャレンジしてみようかなと思いました(^^ゞ 単純な恋愛ドラマではなくて、現代社会に生きる女性たちの普遍的な想いを鮮やかに描いた作品でした。 ... [続きを読む]
受信: 2012年5月30日 (水) 08時44分
» 『ガール』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「ガール」 □監督 深川栄洋 □脚本 篠崎絵里子□原作 奥田英朗 □キャスト 香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要 潤、林 遣都、 波瑠、加藤ローサ、向井 理、檀 れい■鑑賞日 5月26日(土)■劇場 TOH...... [続きを読む]
受信: 2012年5月31日 (木) 08時18分
» ブルーもしくはブルー。『ガール』 [水曜日のシネマ日記]
恋愛、仕事、結婚、子育てなどに悩み模索する大人の女性の生き方を描いた群像劇です。 [続きを読む]
受信: 2012年6月 3日 (日) 10時37分
» GIRL ガール [迷宮映画館]
普通のお母さんはいないのかい? [続きを読む]
受信: 2012年6月 4日 (月) 13時11分
» ガール [とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver]
原作では別々の短編だったのものを親友として一つの物語にまとめたアイディアは、秀逸だ。仕事で出世した女性、保守的な女性仕事相手に悩む、年下の男性に恋する、シングルマザーで仕事と育児を両立する、この四つの人物像をそれぞれの女優が演じ分けている。共感できる物語... [続きを読む]
受信: 2012年6月17日 (日) 07時09分
» ◇『GIRL ガール』◇ ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2012年:日本映画、深川栄洋監督、篠崎絵里子脚本、奥田英朗原作、香里奈、麻生久美子、 吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、檀れい出演。 [続きを読む]
受信: 2012年6月21日 (木) 21時03分
» ガール [ダイターンクラッシュ!!]
2012年6月20日(水) 19:30~ TOHOシネマズ有楽座 料金:1300円(大黒屋で前売りを購入) 『ガール』公式サイト 大コケしたものだと思って、水曜日とは言えガラガラだろうと、高をくくっていたら、女性の複数組みで超満員。 単独の男は、5名に満たないので、結構なプレッシャーの中鑑賞。上映終了後の劇場脱出が一番苦痛だったのだが。 林君が吉瀬さんに惚れられるイケメン若者役だとか、要潤演じる麻生さんの年上の部下が、客の信用も無くすだろうなオペレーションしているとか、想像を絶するほど説得力の... [続きを読む]
受信: 2012年6月22日 (金) 23時40分
» 「ガール」 人生の半分はブルー、もう半分は・・・ [はらやんの映画徒然草]
テーマから予想されたことですが、やはり観賞客の女子率高し。 金曜日の晩ということ [続きを読む]
受信: 2012年6月23日 (土) 10時42分
» GIRL/ガール 評価★★★65点 [パピとママ映画のblog]
あらすじ:由紀子(香里奈)・聖子(麻生久美子)・容子(吉瀬美智子)・孝子(板谷由夏)の4人は、仕事も境遇も違うけれども気の合う友達同士。それぞれ、女として生きることに悩みを抱えていた。大手広告代理店に勤める由紀子は、30歳を目前にして焦りを募らせていた...... [続きを読む]
受信: 2012年6月24日 (日) 00時25分
» 女はつらいよ 『ガール』 [映画部族 a tribe called movie]
監督:深川栄洋出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、壇れい日本映画 2012年 ・・・・・・ 5点 [続きを読む]
受信: 2012年6月24日 (日) 19時53分
» 映画『ガール』 [ほし★とママのめたぼうな日々♪]
奥田英朗氏の描く「人」が、大好きだし 深川栄洋監督の「人」の描写も好きなので 気にはなっていたものの 劇場に足を運ぶ [続きを読む]
受信: 2012年7月 3日 (火) 18時24分
最近のコメント