恋と愛の測り方/Last Night
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男女の仲はかくも複雑 |
あらすじ
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本当に一言でいうならばどっちもどっちな夫婦の物語だ。本質的にはこの手の作品は私の嫌いな部類に入るはずで、予想通り最初のうちはこのバカ夫婦(と思っていた)にイライラし通しだった。が、半ばを過ぎる辺りからこの夫婦それぞれの想いが見えてくるに従って意外にも引きこまれて観てしまった。本作で描かれる夫婦はファッション雑誌のライターで本も1冊出版しているジョアンナ(キーラ・ナイトレイ)と、不動産関係の会社に勤めるマイケル(サム・ワーシントン)である。2人は結婚3年目で、少なくとも序盤を見る限りでは非常に上手く行っている夫婦だった。事の発端はマイケルが会社の仕事関係のパーティーにジョアンナを連れて行ったことだ。
会場で紹介された美しい女性ローラ(エヴァ・メンデス)はマイケルの同僚なのだが、彼女は2人の間にただならぬ雰囲気を感じ取るのだった。この辺女性の、そして妻の勘は侮れない。ただ、マイケルの言動を見ていると浮気をしているふうでもないのだが、ジョアンナは一方的に嫉妬して彼にあたってくる。ただ嫉妬するということは彼の事を愛している証でもあるワケで、それが解っているからこそマイケルは彼女の機嫌を直そうと夜食を作ったりするするのだ。このシーン、マッチョなイメージのサムがやけに可愛らしく見えた。さて本題はここからだ。翌日の出張にはローラも一緒に行くという。朝から落ち着かない彼女がカフェに出かけると、とある男性から声をかけられる。
男性はジョアンナの元カレで作家のアレックス(ギョーム・カネ)。不機嫌だったジョアンナの顔に一気に明るい笑顔が浮かぶ。ハッキリ行ってこの後の予想が出来そうなほど嬉しそうな笑顔で、何も言わずとも彼女が彼の事をまだ好いているのが良く解った。ここから先は、出張先のフィラデルフィアでローラと宜しくやってしまうマイケルと、ニューヨークでアレックすと宜しくやってしまうジョアンナの二元中継になる。徐々に徐々に相手との距離感を縮めて行く2人。例えばマイケルはローラと酒を飲み、下着でホテルのプールにはいったりするし、はたまたジョアンナは太ももも露に、まるでアレックスを誘うようなポーズをとったりするのだ。
ポイントはお互いにそう簡単にことに及んだり、一線を越えたりしないところだろう。たっぷりと時間をかけて描かれる男女の距離感は、それを丁寧と受け止めるか冗長的と受け止めるかが微妙な所だと思う。もちろんその辺も監督は計算尽くなのだろうが。それにしてもキーラは非常にスレンダーなので当然胸もない。だが流石に自分を魅力的に見せることにかけては超一流だ。あんな風に見せ付けられて理性が飛ばない男などいるわけがない。しかしアレックスがことに及ぼうとすると、それだけは断るのだ。「夫の顔を見られなくなるから。」と言って。逆にマイケルは酒の勢いも手伝い、ローラの誘いに乗って彼女を抱いてしまう。必死に自制しようとしている姿が伝わるだけに同性としては複雑な心境だ。
それにしても面白いのはこの2人のセックスに対するスタンスと愛に対するスタンスの差だ。アンナはセックスこそしない、しかし彼女は同時にアレックスにも「I love you.」と言えてしまう。一方マイケルはセックスはする、そしてローラの事は好きだけれど愛してはいない。こんな2人なのにお互いにどちらを選ぶと言えば間違いなく夫と妻を選ぶのだ。何故ならお互いに愛し合っているから。男は愛していなくても魅力的な女性とセックスはできる。それは同じ男として理解できるのだが、流石に私にはジョアンナの気持ちは理解しにくい。それにしても微妙なのは単純にセックスをしたマイケルは浮気で、しなかったジョアンナは浮気ではないと言い切れないところだろう。
女性から見たらそんなの関係ない!セックスしたら言い訳できないでしょ!となるかもしれないが、男性からしたらアレックスに「I love you.」と言った時点でそれは浮気じゃなくて本気じゃないかとも思うのだ。ラストにジョアンナが昨晩めかしこんで出かけたことに気付くマイケル。そしてジョアンナがそんなマイケルに何かを口にしようとした瞬間黒味に飛んで終わる…。彼女は何を言ったのか。私は少なくとも全てを話すようなことはしないと思う。そしてマイケルもジョアンナが何も言わない以上はそれ以上聞かないだろう。お互い全てを曝け出さなくてもそこに愛は存在し得るのだから。
個人的おススメ度4.0
今日の一言:久々にキーラが綺麗で可愛かったなぁ
総合評価:79点
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