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2012年5月15日 (火)

ポテチ

Photo 伊坂幸太郎原作の「フィッシュストーリー」にある短編小説を映画化。監督は伊坂作品と言えばこの人、『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』を手がけた中村義洋だ。更に主演は伊坂+中村といえばこの人・濱田岳。共演に木村文乃、大森南朋、石田えり、そして中村監督自身までもが出演している。空き巣をしている青年の皮肉な運命を描き出している。
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伊坂原作の中村義洋監督にハズレなし!

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うん正に今回もその通りだった。元々短編集である「フィッシュストーリー」の中に収蔵されている一編なだけあって時間も68分とコンパクト。そのせいか大物俳優を主演にすえず、むしろ伊坂+中村作品全てに出演し気心の良く知れている濱田岳を主人公にしたのが正解だった。というより、濱田が扮する空き巣の青年・今村忠司が親分と慕う先輩役として中村監督自身が中村役で出演しているぐらいである(笑)なんだかもうそれだけでやけに小ぢんまりとした世界のお話なのだが、そもそも伊坂作品は仙台が舞台だけにそれが結構良くハマっている。ある日のこと、忠司はこれまた空き巣の先輩の黒澤(大森南朋)にとある相談をするのだった。

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ちなみに伊坂作品で黒澤と言えば『ラッシュライフ』『重力ピエロ』『フィッシュストーリー』にも登場してくるキャラクターで『ラッシュライフ』では堺雅人が演じていた。表の顔は泥棒で裏の顔が探偵と言うのは有名な話でちょっと風変わりな性格なのだが、今回は大森南朋がそこをうまく演じていたと思う。ただ個人的には腹の底が全く見えない得体の知れなさという意味では堺雅人の方があっていると思うが。実は原作を読んでいたせいで、彼が健康診断を受け母親にも受けさせたと話すくだりで結末までを思い出してしまった。もっとも大抵の人は観ていれば途中で想像がつく程度の謎だと思う。それはさて置き、忠司には若葉(木村文乃)という恋人がいる。

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この2人の出会いがまた奇妙で面白い。中村親分(中村義洋)と忠司が空き巣に入った家に自殺すると電話をかけてきたのが彼女で、忠司は空き巣中にも関わらず電話に出て彼女を助けに行ってしまうのだ。この辺の電話と中村親分と忠司のセリフの間合いは流石に監督自身が演じているだけあって絶妙だ。まあ演技と言う意味では流石に監督は本業ではないのでボチボチといったところだが(笑)なんとも言えない間と奇妙なセリフ、伊坂作品の面白さを完全に把握した中村監督だからこそ出せる味と言うものだろう。無論、濱田岳の力も大きいのは言うまでもない。で、この若葉との出逢いのシチュエーションと全く同じことが再び起こる。そこでクローズアップしてくるのがプロ野球選手・尾崎の存在だ。

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実は忠司は尾崎の大ファンだった。それは彼と尾崎が“同じ年の同じ日に同じ病院で生まれた”から。そしてそれがタイトル『ポテチ』にリンクしてくる。車の中でポテトチップを食べる忠司と若葉。このシーンが実に上手いなぁと思うと同時に、それぞれの登場人物を実に印象的に表していた。若葉はコンソメ味を食べたかったのだが、忠司は間違えて彼女に塩味を渡してしまう。しかし彼女はそれと知らず食べ始め、食べてみたら結構美味しいことに気付く。同じポテチの味違い、どっちも食べてみたら美味しい…。その様子を観て泣き出す忠司、そして何で泣いているのか理解できない黒澤、事情を知らずにオロオロする若葉。secretそう、実は尾崎と忠司は病院で取り違えられた子供だった。secret

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結局、若葉は黒澤から全ての事実を聞かされるのだが、知った上でのラストの球場での出来事は、彼女ならずとも胸が熱くなるはずだ。人と人との繋がりは単なる血の繋がりだけではない。野球の力で人々を元気付ける尾崎と、それを必死で応援する忠司のどちらも魅力的な一人の人間だ。そしてもちろんこの野球シーンは震災後に東北地方に元気と希望を届け続ける東北楽天をモデルにしているのは言うまでもない。漆黒の夜空に舞い上がった白球が人々の想いを乗せて飛んで行く。そしてその人々の想いはやはり被災地の方々の想いに重なる。原作が書かれたのは3.11より前だが、そういう意味で本作は今何かを届けたいという伊坂幸太郎と中村義洋という2人の人間の想いが伝わってくる作品だった。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:やっぱり伊坂作品は面白い!
総合評価:77点

作品情報
キャスト:濱田岳、木村文乃、大森南朋、石田えり、中林大樹、松岡茉優、阿部亮平、中村義洋、桜金造
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
脚本:中村義洋
音楽:斉藤和義
主題歌:斉藤和義
製作国:2012年日本映画
配給:ショウゲート
上映時間:68分
映倫区分:G

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