ザ・マペッツ/The Muppets
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操られなくなったマペットは大人の証? |
あらすじ
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私の中ではマペットといえば何といっても「セサミストリート」。個性豊かな人形たちに子供時代は随分楽しませてもらったと同時に、アメリカという国の文化を知るワンシーンになっていた。操り人形故に必ず机の上に上半身だけ登場したり、操る糸が見えたりするのは当然なのだが、本作は現代の技術でマペットたちが生き物として動き回り人間と共存していた。マペット好きの人にとってはそれだけでも夢が叶ったように見えるかもしれない。さて、本作の主人公で人間のゲイリー(ジェイソン・シーゲル)はウォルターというマペットと子供の頃から共に成長してきた。「トイ・ストーリー」のウッディがアンディ少年の大切な友達なのと似ているが、こちらは正真正銘話もするし遊びもする友人関係だ。
物語序盤では、ゲイリーが人間故に身長も伸びて文字通り大人になって行くのに対し、ウォルターはいつまでたっても変わらない(当たり前だが)ため、段々と自分の居場所が見つけられなくなっていく様子が描かれている。そんな彼にとっての憧れはテレビで放送されるマペット・ショーに出てくるマペットたちだ。ある日ウォルターに転機が訪れる。ゲイリーが恋人メアリー(エイミー・アダムス)と行くLA旅行に彼を誘ったのである。恋人と2人きりの旅行だと思っていたメアリーはややゴキゲン斜め、しかしゲイリーは無邪気にウォルターを連れて行くのだ。何故ならLAにはマペット・ショーの殿堂“マペット・スタジオ”があるから。と言うワケで3人は一路LAと出発する。
それにしてもゲイリーはやけにその行動が子供っぽい。ジェイソン・シーゲルが演じているので当然30代、良い大人なはずなのにこのギャップはなんなのだろう。そんなゲイリーが好きな相手メアリーもやけに少女っぽいのだがいくらエイミー・アダムスが童顔だとはいえ既にアラフォーだ。この妙な歳の割りに大人になりきれていないところが実は物語的にはポイントだった。余談だがエイミー大好きな私としては、久しぶりに観た彼女が寸胴体型でやけにおばちゃんぽくなっていたのがショックだった。『ジュリー&ジュリア 』のあの可愛らしい姿からたった2年ちょいしか経っていないというのに…。役作りでやっているにしてもこれはちと痛い。
話を戻そう。憧れのマペット・スタジオは今は寂れてみる影もなく、1ヵ月後までに1万ドルで買い戻さない限り、意地悪な石油王テックス・リッチマン(クリス・クーパー)に奪われてしまうことになっていた。かくしてカーミットを中心としてかつてのマペット・ショーのメンバーを集めて回る。このシークエンスは例えば地図の上を矢印が進むことで時間短縮したり、それをワザワザ台詞としてマペットにしゃべらしたりと、工夫を凝らした笑いが埋め込まれていて中々楽しい。ミュージカルシーンも随所に出てきて、『ヘアスプレー』や『ハイスクール・ミュージカル』などには及ぶべくもないけれど、それなりに上手い歌とダンスを見せてくれる。
ただミュージカルシーン以外はちと長い。正直少々眠くなってしまった。それでも全員が集まり、最終的にはどんでん返しの末に1万ドルが集まることになる。残念ながらこの最後のマペット・ショーがあまり面白くなかった。既に自分が大人になってしまっているからかもしれないが、子供の頃に感じたワクワク感がまるでなかったのが残念だ。結局中盤以降で観ていて嬉しいのはジャック・ブラックが登場したり、エミリー・ブラント、ザック・ガリフィアナキス、ウーピー・ゴールドバーグら超知った顔がさりげなくカメオ出演しているところぐらい。ただ最終的にすっかり大人の表情に変わったゲイリーを観ていると、彼とウォルターの関係が良く解る。
ウォルターの居場所がないというのは、取りも直さずゲイリーの幼さのもって行き場がないということなのだ。だからこそ、最終的にウォルターが仲間の内に自分の居場所を見出すと、ゲイリーの表情が急に大人になったように変わる。結局ゲイリーは観ている我々そのものの成長の映し鏡なのかもしれない。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:映画『マペット』シリーズの7作目なんだそうな
総合評価:64点
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