BRAVE HEARTS 海猿

海上保安庁の機動救難隊に所属する潜水士・仙崎大輔を主人公として海上保安官たちの奮闘を描いた人気シリーズ劇場版の第４弾。今回は３４６名を載せたジャンボ機が東京湾に海上着水し、その乗客乗員の救助に挑む。出演は伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太らレギュラー陣に加え、今回は仲里依紗や伊原剛志らが参加した。監督はシリーズ全てでメガホンを取る羽住英一郎だ。
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７月１３日（金）公開

しかと観た！仙崎のブレイブハート！

　あらすじ　

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ハッキリ言うとファンのための作品。そしてファンである私は大いに興奮し、大いに笑い、大いに涙…は大げさ過ぎか（苦笑）簡単に言ってしまうと全くいつもと同じパターンである。というか「事故が起きる→仙崎たち救助に→見事に救助しかし…→よかったー！」このメインの流れ以外にも、細かい部分では『THE LAST MESSAGE 海猿』に良く似たシチュエーションが見受けられた。従ってこの手が嫌いだったり、こんなの現実的じゃない！と思ってしまうとしんどいことになってしまう。例えば前作では仙崎（伊藤英明）がぎりぎりで命拾いするのだが、それを「いくらなんでも都合良過ぎだろ！」と見る人には向いていないし、「頼む仙崎！死なないで！」と思える人には向いている（笑）

さて、前作レガリアの事故から２年、仙崎は何と機動救難隊所属からから特殊救難隊、通称トッキュー隊所属になっていた。このトッキューについては本作の原案を担当する小森陽一が原作を担当する漫画「トッキュー！！」に詳しい。簡単に言うと全国の海上保安官・潜水士の中から選りすぐられた最高の３６名の集団で、海難救助の最後の砦と呼ばれている。仙崎だけでなく吉岡（佐藤隆太）もトッキューに居たのにはやや驚いたが、嬉しいのはこの２人のバディが復活していたことだ。何せ前作では新加入した服部（三浦翔平）が活躍し、吉岡は基本的に歯軋りしてそれを見ているだけ。しかし今回はむしろ仙崎以上に大活躍を見せてくれる。しかも今回は彼女までできているのだ！

久しぶりに２ショットシーンも増えた伊藤と佐藤だが、この２人の息の合い方は素晴らしい。舞台挨拶での軽妙なやり取りは単純に俳優同士ではなく良き先輩後輩、良き友人として通じ合っているのが観ているこちらにも伝わってきたほどで、正に劇中の仙崎と吉岡がそのまま目の前に居るようにすら思えた。さて、今回もそんな２人だけでなく日本中を騒然とさせる事故が起こる。羽田に向かっていたジャンボジェットがエンジンの故障で東京湾に海上着陸することになったのだ。ジャンボが海上に浮かんでいられるのは僅か２０分。その間に乗客乗員３４６名全てを救助しなくてはならない。このかつて無いミッションには観ていて大きく２つの要素が描かれていた。

一つは仙崎とトッキュー隊副隊長の嶋一彦（伊原剛志）との心の共鳴だ。嶋は救助に必要なのは「冷静な判断力とスキルだ」と言い切る男で、簡単に言えばトッキュー隊隊員の二次被害を防ぐためには必ずしも全員を救えなくてもそれは仕方ないと考える。絶対に諦めずに全員を救うという仙崎とは相容れないながらも、彼のブレイブハートは嶋の心をも沸騰させるのである。今回から参加した伊原剛志が演じるクールで渋い嶋、仙崎と何から何まで対照的に演出されているが、だからこそミッションをやり遂げ、お互いを認め合った時の２人の背中を映し出すシーンがめちゃくちゃカッコよく心に突き刺さる。もう一つは吉岡とその恋人・矢部美香（仲里依紗）が本当の愛の確認だ。

実はこのジャンボジェットのＣＡとして美香は搭乗していた。気丈に振舞う美香だが、機体の爆発で動けなくなってしまう。それを吉岡が助け出すという寸法だ。今回この美香役の仲里依紗の活躍ぶり、フィーチャーぶりはレギュラーの加藤あいを凌ぐほどだった。ここまでの人気作品に途中参加する、それも嶋のような仕事上の仲間ではなく、恋人役となると場の醸し出す空気感に同化するのは中々大変だとは思うが、実に自然に溶け込んでいたと思う。吉岡は彼女を救助するが代わりに彼自身が崩れた機体の破片の下敷きになり動けなくなってしまう。泣き叫ぶ美香を救助に来た服部に託す吉岡。まあ何気に先は読めているのだが、それでも「まさかそれはないよな…」と思わずに居られない。

本作の場合その「まさか」が重要なのだと思う。沈んだら水深６０ｍの海の底。まず助からないと煽りながらも当然ながら？吉岡は機体と共に海に沈む。助かるはずだ。助からなければ「海猿」じゃない。ファンなら確信しながらも「まさか」である。更に「これで助かるのは余りに都合がいい」とはファンは考えない。「何としてでも助かって欲しい！」と考えるのがファン心理というものだ。無論、羽住監督がそんなファンを裏切る訳がない。前作ではラストに海上保安官が仙崎を迎えにいく大団円だったが、今回はそれだけでなくミッションに携わった消防や警察ほかも含めた大団円。多くの人間が心を合わせて困難を乗り越える姿は、もちろん大震災後の日本をイメージしたものだろう。被災地にもファンが多い本作、今の日本にはこんな元気をくれる作品が相応しい。

７月１３日（金）公開

THE LAST MESSAGE 海猿

個人的おススメ度4.0
今日の一言：村松機長がまたいいんだ！
総合評価：78点

作品情報
キャスト：伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太、仲里依紗、三浦翔平、平山浩行、伊原剛志、時任三郎
監督：羽住英一郎
製作：亀山千広、加太孝明、水口昌彦、市川南、亀井修、小笠原明男
チーフプロデューサー：臼井裕詞
プロデューサー：安藤親広、上原寿一、森井輝
ラインプロデューサー：古屋厚
原作：佐藤秀峰
原案：小森陽一
取材：小森陽一
脚本：福田靖
撮影：江朋生
照明：三善章誉
録音：柳屋文彦
美術：清水剛
装飾：小山大次郎
編集：松尾浩
視覚効果：石井教雄
音響効果：柴崎憲治
音楽：佐藤直紀
主題歌：シェネル
製作年：2012年
製作国：日本
配給：東宝
上映時間：116分

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予告編

特別メイキング映像