発情アニマル アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ1978/I Spit on Your Grave
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シンプルだからこそ伝わる苛烈な復讐心 |
あらすじ
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昨年公開された『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』のオリジナルとなる作品。あまりの過激さに本国では「発情アニマル」のタイトルの元、ポルノ映画扱いされてしまったといういわくつきの作品だ。話の流れは基本的に同じで、ひと夏を湖畔の別荘で過ごそうとやってきた女流作家が地元の男たちに陵辱の限りを尽くされるものの、今度は全員に復讐しようとする。リメイク版ではその復讐方法に工夫を凝らしており、その意味では復讐劇としての要素が非常に強くかつ上手かったのだが、そもそも復讐心の源となるレイプシーンがやけに大人しく、それが故に主人公ジェニファーの行動の説得力が弱かった。更にエロという意味でも大人しく、裸のシーンも大してでてこない。
しかし本作はリメイクとは逆に復讐方法こそシンプルだが、そのレイプシーンは思わず目を背けたくなるほど凄惨で、更に復讐シークエンスを含めて惜しげもなく裸を見せまくるエロさだ。これだけ大胆に見せていたら(日本ではもちろんボカシが入っている)1978年ならこれがポルノ映画に分類されてしまったというのも納得である。オリジナルでジェニファーを演じているのはカミール・キートン。なんと、かの有名な喜劇役者バスター・キートンの姪っこだそうだ。美しい顔立ちに、あまり大きくは無いけれど形の良いバスト、女性らしいヒップラインに真っ白な肌。しかもニューヨークの女流作家でお高くとまった都会の女ときたら、田舎の野獣どもにはうってつけのエサだったのだろう。
リメイク版では彼女を襲う男4人のうちの1人を保安官という設定に変えていたが、こちらは全員一般人だ。リーダー格はスタンドを経営しているジョニー(エロン・タボール)、その舎弟分の不良がスタンレー(アンソニー・ニコルズ)とアンディ(ガンダー・クリーマン)、そしてやや知能に障害のある男マシュー(リチャード・ペース)である。マシューに初体験をさせてやるという理由で彼らはジェニファーを襲うのだが、一応ジェニファーの側にもスキがある様子を見せていた。例えば彼女は湖畔に着くなりいきなり服を脱ぎ捨て全裸で泳ぎ始めたりするのだ。無論だからレイプして良い理由になど1ミリたりともなりはしないが、田舎の男たちを刺激するという意味では大きいと言える。
それにしてもレイプシーンでのカミールの演技は凄まじいの一語に尽きる。レイプされ逃げると先回りされていてまた犯される。やっとのことで別荘に逃げ込み電話をかけようとすると、そこでもいきなりだ。余りに過激な暴力シーンは見ていて嫌気がしてくるほどだった。ただちょっと展開的に苦しいと感じたのは、彼女が復讐に映る部分だ。復讐心を抱いたとしても不思議は無いほどではあるけれど、普通に考えるとあそこまでボロボロにされたら、即座に車に乗って逃げ帰っても良いと思うのである。この辺はリメイク版では上手く逃げられない、逃げない流れを作っていた。オリジナルではどこかの時点で復讐を決意した、そのポイントがあやふやなのが少々残念だった。
復讐の手段は到ってシンプル。リメイク版の仕掛けを凝らし酷くやり込める方法も良いけれど、それはむしろ現実的ではない。この作品の復讐方法のポイントは、“男たちの弱さ”であり、実にリアルなのだ。彼らは自分たちがレイプし、殺そうとまでした女が自分を誘ってくると、それを微塵も疑わないいや疑えない。冷静に考えればそんなことあるはずが無いのに。マシューはクビに縄をかけてて吊るされ、アンディはボートから突き落とされたスタンレーを救おうとして背中に斧を叩きつけられ、そのスタンレーはボートのスクリューで身体を切り刻まれる。そして最も凄惨なのがリーダーのジョニーだ。誘われるままにフロに入り、アソコを触られ気持ちが良くなったところでそれをナイフで切断される。
男たちが望んだ自らの身体をエサに、男たちに復讐を遂げるジェニファー。身震いがするほど汚らわしく、そしてどれだけ恐ろしかったであろうかは中々想像が難しいが、にこやかな笑顔の仮面の下には無表情で冷たい顔が隠れていた。イザとなったら女は怖い。
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個人的おススメ度3.5
今日の一言:基本的に隠す行動はしないのかな?
総合評価:72点
作品情報 |
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