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2012年6月10日 (日)

ジェーン・エア/Jane Eyre

Photo 19世紀の女流作家、シャーロット・ブロンテの同名作品を『闇の列車、光の旅』のキャリー・ジョージ・フクナガ監督が映画化。幼い頃に両親を無くした女性が過酷な運命をその高潔な精神と知性で生き抜く姿を描いている。主演には『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカ、共演に『SHAME -シェイム-』のマイケル・ファスべンダー、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ベルら実力派が揃う。
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ジェーンの生き方に心打たれる

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久しぶりに2回鑑賞した作品。ミア・ワシコウスカが好きだということと、『闇の列車、光の旅』のキャリー・ジョージ・フクナガ監督の長編2作目だからだ。もっとも初見では今一つ良く理解できなかった部分もあったからでもある。原作はシャーロット・ブロンテの同名小説でウィキペディアによれば今回で4度目の映画化だそうだ。幼い頃に両親を失い孤児になったジェーンが過酷な運命に晒されつつも高潔な精神と尊厳を失わず真実の愛に生きる姿を描いている。映像はジェーンが何かから必死に逃げようとする姿から始まるのだが、やがてとある民家の前で行き倒れてそこの主人である男に助けられるのだった。朦朧とする意識の中で彼女は自らの人生を回想し始める。

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少女時代のジェーンは当然ながらミアではない。叔母の家で従兄弟に苛められ、誰にも味方してもらえない。理不尽極まりないのだが、ただ本作は不幸な少女時代で可哀想といった話ではない。8歳にして大人の目をキッと見据え、しっかりとした口調で叔母に反論する姿からは、後のジェーンから見られる凛とした精神性が覗える。叔母の家を追い出され、寄宿学校に入れられた彼女は、そこでも孤高の存在だ。それにしても、生徒に向かってジェーンを無視しなさいと指導する牧師の姿と言うのは実に醜悪である。しかし、その醜悪さゆえにより一層ジェーンの高潔さが際立つという寸法だ。同級生へレンを庇うために自らを悪者にする彼女は、とてもではないが少女の姿ではない。

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凡そ幼女らしい無邪気さ、天真爛漫さを捨て去り、大人として生きる彼女の姿に、本来それで良いのかという気持ちにもさせられる。実はこの子供時代の話は物語のメインの流れとしてはそれほど面白いものではない。ただ、この後描かれる大人になったジェーンの言動を理解するにはこの少女時代の描写は絶対的に必要だ。彼女の人間性が形成される過程を描いていると言っていい。長じたジェーンは寄宿学校を出て住み込みの家庭教師としてソーンフィールド館に勤め始める。フランス人少女のアデルを教えるためだが、ここでロチェスター(マイケル・ファスベンダー)と出会うのだった。運命的な出会いではあるが、正直その出会いはあまり好意的には見えない。

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一つにはロチェスターが変に誇り高く、いやどちらかというと金持ちにありがちな傲慢さを感じるからで、それが権威や家柄・身分に媚びないジェーンとぶつかり合うからだ。それにしても凛とした誇り高き女性ジェーンとミア、そして気難しく傲慢なロチェスターとマイケルの同調っぷりが素晴らしい。ミアは正直言って可愛らしいタイプの顔立ちではないが、ややキツめの表情がこのジェーンにはピッタリだ。一方のマイケルも単なるハンサムではなく、どこか気難しく近寄りがたい表情が良く出ている。この2人を俯瞰して観ていると気がつくのだが、家柄の違いや育ちの違いこそあれ、結局根っこの部分では良く似た者同士なのだと思う。お互いの事を理解し合える2人が惹かれあって行くのは当然だ。

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ただ親密度を増す2人だがその間、屋敷では不可思議なことが起こる。悲鳴が聞こえたり、人が刺されたり、ロチェスターの寝室が火事になったり…。少し残念だったのはこの不思議な出来事がロチェスターの狂人の妻がやったことだと予告編等で既に知っていてしまったことだ。原作小説こそ読んでいないが、完全に知らなかったらより驚きが増しただろう。とはいえジェーンの精神性はここに到るまでで十分に表現されているし、それ故に彼から離れる決断をせざるを得ない彼女の心情には心が震える。結局彼女はロチェスターの元を逃げ出すのだが、それが冒頭のシーンと言うワケだ。彼女を助けたのは牧師のセント・ジョン(ジェイミー・ベル)といい、彼女に家と教師の仕事まで与える。

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セント・ジョンがやがてジェーン惹かれて行くであろうことは最初から想像がつくが、それでもロチェスターへの想いを吹っ切れない彼女に対する彼の態度の豹変振りにはなんとも言いようのない違和感を覚える。牧師も人間だと言ってしまえばそればでだが、結局拠り所が神である分だけ彼の方がロチェスターよりも遥に傲慢にも見えた。大体自らの心を神の御心と摩り替えるような人間にはロクナヤツはいない。もっとも、一見ジェーンに近い立場の人間、それも牧師が彼女の精神性を全く理解できず、結局彼女のよき理解者はロンチェスターだけだったというのが物語としては面白いところではあるし、人と人との縁の数奇さを感じずにはいられないのだが。ジェーンのような生き方は表面的には損をするだろうけれど、どうしても憧れと清清しさを禁じえない。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:ミアって真っ白で綺麗だな…
総合評価:79点

作品情報
キャスト:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、サリー・ホーキンス、ホリデイ・グレインジャー
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
製作:アリソン・オーウェン、ポール・トライビッツ
製作総指揮:クリスティーン・ランガン
原作:シャーロット・ブロンテ
脚本:モイラ・バフィーニ
原題:Jane Eyre
製作年:2011年
製作国:イギリス・アメリカ合作
配給:ギャガ
上映時間:120分
映倫区分:G

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★ネタバレ注意★  シャーロット・ブロンテの原作は、大変有名な作品ですから、昔々まだ森にたくさん恐竜が棲んでいた頃読んだ記憶があるように思いますが、もちろん内容は覚えていません。そしてこの古典的名作は、今までに何度も映画化されているそうですが、1996年のフランコ・ゼフィレッリ監督バージョンを観た覚えがあります。ジェーンがシャルロット・ゲンズブール、ロチェスターがウィリアム・ハート。アンナ・パキンが演じたジェーンの少女時代は大変印象的でしたが、大人になってからの展開は全く覚えていません。 ... [続きを読む]

受信: 2012年7月17日 (火) 22時52分

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