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2012年6月14日 (木)

道 ~白磁の人~

Photo 韓国を併合した後、朝鮮半島の荒廃した山々の緑化に尽力した実在の人物・浅川巧の半生を描いた人間ドラマ。主演は『種まく旅人 みのりの茶』の吉沢悠。共演に『ガールフレンズ』のペ・スビン、石垣佑磨、塩谷瞬らが出演している。監督は『禅 ZEN』『BOX 袴田事件 命とは』の高橋伴明。浅川巧の生誕120年を記念した作品でもある。
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何も特別なことをする必要は無い

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『禅 ZEN』『BOX 袴田事件 命とは』の高橋伴明監督作品。今回は実在の林業技師・浅川巧の半生に迫る人間ドラマだ。浅川に関しては全く知識が無かった分、またしても映画で近代史を学ぶことになった。1914年、日韓併合から4年後に浅川は朝鮮半島に渡り、かの国の山に緑を甦らせようと奮闘する。本作では巧みがその仕事を通じて一人の朝鮮人と知り合い、それをキッカケに当時蔑まれていた朝鮮人の人々を理解し、その輪の中に入ろうと務める姿が描かれていた。まずは上映開始早々から日本軍の将校による傍若無人な振る舞いが映し出される。余りにステレオタイプなその描写と、それを演じているのが堀部圭亮ということもあって失笑気味のスタートだ(苦笑)

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ただこの出来事が物語のもう一人の主人公とも言えるチョンリム(ペ・スビン)と出会いに繋がる。彼は巧と同じ林業試験所で働いているのだが、2人はこの運命的な出会いから親友になるのだった。チョンリムは朝鮮人としての立場や考え方を持ちつつ、しかし他の誰よりも巧のことを理解している。彼の心の葛藤も本作の見どころだ。前半で一番印象に残ったのは、「三・一独立運動」でそのチョンリムの友人チョンスが日本軍に撃たれて死んでしまい、さらにはそのあおりでチョンリムまでもが仕事をクビになってしまうシークエンス。チョンリムにハングルを学び、率先して彼の家族と交わり、さらには他の朝鮮人とも交流を図ろうとしてきていた巧にとってこの事件は大きなショックだった。

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チョンリムのクビに対する抗議の意味で民族服パジ・チョゴリを着る巧。しかしそんな彼にチョンリムは言うのである。「自分だけが朝鮮人の味方のつもりですか?あなたに笑顔を見せるのはあなたが日本人だからだ。そうしないと何をされるのか解らないから。そんな服を着てもあなたは朝鮮人にはなれない。」と。相互理解は自らの立場(この場合は出自と言っても良いかも知れないが)と相手の立場を尊重し理解しようとすることから始まるはずだ。しかし良く陥りがちなのは相手の立場を尊重しているつもりが、自らを卑下していることにしかなっていないこと。特に日本人は謙譲の美徳で不要にへりくだる傾向があると思う。それは卑屈と受け止められかねない。

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巧は自分でも無意識のうちに自分が日本人であることを恥じていたのではないか。当然の事ながら、民族服を着ようがどれだけ流暢にハングルを操ろうが巧が日本人であることには変わりないのだ。大切なのは日本人として朝鮮人を理解することであり、それは相手に伝わるまで地道に積み重ねていくしかないのである。実際には解らないが、物語の流れとしてはその一つの現われとして白磁を集めた「朝鮮民族美術館」の建設話が持ち上がる。巧たちは、朝鮮では二束三文で売られている磁器に美術品としての優れた価値を見出したのである。主体となったのは柳宗悦(塩谷瞬)という美術学者だが、そこに巧と巧の兄・伯教(石垣佑磨)が加わることに。

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白磁は日常使いの磁器であって特別なものではなかった。しかしだからこそ朝鮮人そのものと言っても良い存在であり、そこにある美を認めることは、朝鮮文化や朝鮮人そのものを理解し認めることに繋がるのである。このほかにも巧は身の回りの朝鮮人に対して少しづつできる範囲で交流を深めていく。それは別に特別なことではなく、例えばじゃがいもをちょっとだけ高く買ってあげたり、子供たちにお年玉を上げたりといった、本当に他愛も無いものだった。そんな巧とは対照的にチョンリムの方は自らの息子が抗日独立運動に参加したりと、その悩みは深まって行く。それにしてもこうした民族主義運動はそれが朝鮮であろうが日本であろうが、いやどの国であろうが本当に嫌になる。

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相互理解を全否定するのは簡単だが、既に我々は関わってしまっている。お互いにお互いを否定しながら日常を営むことなど出来ない。国レベルでの問題があることと、人間個人レベルの問題は全く別なのは言うまでもないし、だからこそ私は竹島は日本固有の領土だと確信するれど、K-POPも好きなら韓国映画の素晴らしさも理解し認めている。話がそれたが、地道な交流を続けた巧が死に、その葬儀に際して多くの朝鮮人に棺を担がせて欲しいと訴えられるシーンは、我々がお互いに理解しあえることを示してくれた。正直いうと、映画作品としてはやや安っぽい演出が鼻につくところはある。ただ、その墓に「韓国の山と民芸を愛し、韓国人の心の中に生きた日本人、ここ韓国の土となる」とまで刻まれた日本人が居たことを知ることが出来たのは大きな収穫だった。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:自分が気持ち良いように行動するさね
総合評価:68点

作品情報
キャスト:吉沢悠、ペ・スビン 、酒井若菜、石垣佑磨、塩谷瞬
監督:高橋伴明
製作総指揮:長坂紘司
エグゼクティブプロデューサー:與田尚志、倉内均
プロデューサー:紀伊宗之、小川勝広
原作:江宮隆之
製作年:2012年
製作国:日本
配給:ティ・ジョイ
上映時間:118分
映倫区分:G

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» 道〜白磁の人〜 [佐藤秀の徒然幻視録]
木訥の精神 公式サイト。日韓共同製作、江宮隆之原作、高橋伴明監督。吉沢悠、ペ・スビン、酒井若菜、石垣佑磨、塩谷瞬、黒川智花、近野成美、チョン・ダヌ、チョン・スジ、市川 ... [続きを読む]

受信: 2012年6月14日 (木) 00時25分

» 道 〜白磁の人〜 [to Heart]
製作年度 2012年 製作国・地域 日本 上映時間 119分 原作 江宮隆之 脚本 林民夫 監督 高橋伴明 音楽 安川午朗 出演 吉沢悠/ペ・スビン/酒井若菜/石垣佑磨/手塚理美/堀部圭亮/田中要次/大杉漣 日本に併合された約100年前の朝鮮半島で、荒廃した野山をよみがえらせる...... [続きを読む]

受信: 2012年6月14日 (木) 01時06分

» 『道 -白磁の人-』 2012年6月13日 スバル座 [気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)]
『道 -白磁の人-』 を鑑賞しました。 良い映画だったんですけど、キャスティングが悪いよね 【ストーリー】  日韓併合から4年後の1914年、林業技術者の浅川巧(吉沢悠)は、朝鮮半島の山々を再生するという決意を胸に海を渡る。彼は生まれ故郷の山梨を離れ、京城(現ソウル)へと渡り、朝鮮総督府の林業試験所で働くことになる。何事にも偏見を持たない巧は、同僚のチョンリム(ペ・スビン)に朝鮮語を習うことにし、めきめき上達していく。 最後には泣かされてしまいました 日本人、朝鮮人という括りでみな同じに見ら... [続きを読む]

受信: 2012年6月14日 (木) 09時13分

» 道~白磁の人~ [あーうぃ だにぇっと]
道~白磁の人~@よみうりホール [続きを読む]

受信: 2012年6月14日 (木) 18時43分

» 『道−白磁の人−』 [ラムの大通り]
----- 今日は、オンライン試写会。 ということでフォーンも一緒に鑑賞。 この『道〜白磁の人〜』というのは、 日本の韓国併合の4年後に京城ヘやってきた林業技術者の浅川巧のこと。 彼の仕事は朝鮮の山を緑にすること。 ところが、仕事以前に彼は、この地で 思いもかけぬ...... [続きを読む]

受信: 2012年6月14日 (木) 22時12分

» 『道〜白磁の人〜』 (2012) / 日本 [Nice One!! @goo]
監督: 高橋伴明 出演: 吉沢悠 、ペ・スビン 、酒井若菜 、石垣佑磨 、塩谷瞬 、黒川智花 、近野成美 、市川亀治郎 、堀部圭亮 、田中要次 、大杉漣 、手塚理美 、チョン・ダヌ 、チョン・スジ 公式サイトはこちら。 日韓併合時代に朝鮮半島で植林事...... [続きを読む]

受信: 2012年6月15日 (金) 14時27分

» 「道~白磁の人」 [帚木日記]
所要があっての上京で、久し振りで韓国映画を観てきました。日本併合時代の朝鮮で、植 [続きを読む]

受信: 2012年6月19日 (火) 22時02分

» 道 〜白磁の人〜/吉沢悠、ペ・スビン [カノンな日々]
林業技師として朝鮮半島に渡り荒れ果てた山林を生き返らせた実在の人物・浅川巧の生涯を描き第8回中村星湖文学賞を受賞した江宮隆之さんの小説『白磁の人』を映画『BOX 袴田事件  ... [続きを読む]

受信: 2012年6月21日 (木) 22時38分

» 道〜白磁の人〜 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
【映画パンフレット】 『道〜白磁の人〜』 監督:高橋伴明.出演:吉沢悠.酒井若菜.塩谷瞬クチコミを見る実在の人物・浅川巧の半生を描くヒューマン・ドラマ「道〜白磁の人〜」。歴史の ... [続きを読む]

受信: 2012年6月28日 (木) 09時05分

» 道 〜白磁の人〜 [迷宮映画館]
今更ながら、こんな方がいたと言うことを勉強いたしました。 [続きを読む]

受信: 2012年7月 8日 (日) 07時57分

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