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2012年6月22日 (金)

臨場 劇場版

Photo_2 『半落ち』、『クライマーズ・ハイ』の横山秀夫による同名小説を原作にしたテレビドラマの劇場版。鋭い観察力と洞察力をもった主人公の検視官・倉石を演じるのは『252 生存者あり』の内野聖陽だ。共演には『ナースのお仕事』シリーズの松下由樹らレギュラーメンバー、更には段田安則、若村麻由美、平田満らが加わる。監督はドラマと同じく橋本一が務める。
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soon 6月30日(土)公開

内野聖陽の圧倒的な説得力

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人気テレビドラマシリーズらしく安定した面白さの作品だった。ただ、私は一度もまともに観たことがないので細かい人間関係が解らない。その意味では本当の意味で楽しめたのかは疑問だと思う。主人公・倉石義男(内野聖陽)とその同僚・小坂留美(松下由樹)の関係の深さはドラマを通じて出来上がったものだろう、その阿吽の呼吸は一朝一夕には出来ないだろうし、捜査一課管理官・立原真澄(高嶋政伸)は表面上は倉石に厳しくても実はかなり信頼しているようだ。亡くなった奥さん(京野ことみ)との関係や刑事一ノ瀬和之(渡辺大)との関係、そして倉石自身の身体の状態など、作る側が知っていて当然と思っていることを知らないマイナスをどうしても感じてしまう。とはいえ、初めてみる鑑識班の面々はやけにカッコいい。

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いきなり余談だが、あるグループが集団で歩調を合わせスクリーン手前に向かって歩いてくるシーンは無条件で観る者にその集団に対する期待感を抱かせる効果がある。この場合の鑑識班の面々もそうだった。遺体の前で手を合わせて黙祷を捧げ、黙祷から直ると感傷に浸るのはそこまでとばかりに猛然と仕事を始める。良い意味で遺体を物体と見てソコからどんな些細な情報も漏らさないように細心の注意で検視を始めるのだ。そのプロフェッショナルな姿を観ていると、倉石のいう「ホトケの最期の声を拾う」人々とはこういうものなのかとある種の感動すら覚えてしまった。さて、ドラマはどういった展開で1話を見せていたのか解らないのだが、少なくともこの劇場版はやけに内容てんこ盛りだった。基本は2年前に起こった通り魔事件の犯人と被害者のエピソードだ。

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刑法39条(心神喪失者の行為は、罰しない)により無罪となった犯人・波多野進(柄本佑)の姿と被害者遺族の中でも特に娘を亡くした母親・直子(若村麻由美)の苦しみを描いている。正直言ってこれだけでもかなり話は膨らむはずなのだが、ただこの話だけだと検視官としての倉石の出番は冒頭だけで終わってしまう。そもそも犯人は明らかであり、裁判の話はこのドラマの趣旨ではないからだ。そこでまた別の事件が絡んでくることになる。それは波多野を精神鑑定により無罪にした弁護士・高村(菅原大吉)とその精神鑑定をした精神科医・加古川(デビット伊東)が殺された事件だった。この辺から話が少々入り組んでくる。実は高村は警視庁管内で、加古川(デビット伊東)は神奈川県警管内で殺されていたのだ。2つの事件は犯行の共通点が多いことから合同捜査本部が設けられる。

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捜査本部に集まった一之瀬と神奈川県警の仲根達郎管理官(段田安則)、高嶋政伸と段田安則という三枚目も演じられる俳優がやけにダンディかつクールに争うのが微妙に合うような合わないような(笑)物語としてはここからが本番だ。仲根が2人を恨む直子を容疑者と見るのに対して、倉石はそれを覆そうとするのである。「被害者の遺族が犯人なわけねぇだろ」まだ証拠もないのに確信に満ちたその言葉が、倉石という男のもつ優しさを表していた。「まだ根こそぎ拾えてねぇ」彼がそう言うからには間違いない、何か見落としている、裏があるはずだと思えてしまうこの説得力。ドラマを見ていなくてもそう思わせてしまうのは内野聖陽の演技力の賜物だろう。ただ一点だけ。内野聖陽は少し滑舌が悪い上に、倉石の無頼なしゃべり方のせいで、何を言っているのか聞き取れない部分があった。

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倉石は遺体に死亡推定時刻をずらすための細工がされているのではと疑うのだが、そこで登場するのが加古川の司法解剖をした倉石の師匠である安永泰三(長塚京三)だ。この時点で安永が死亡推定時刻を偽っているのは間違いない(と倉石は思っているはず)のだが、その理由が解らない。そこに更に過去に高村と加古川が組んで起こした冤罪事件の話まで判明してくる。この辺、話があちこち飛びすぎて何を中心に見てイイのかやや戸惑いを覚えた。特に冤罪事件に関しては本当に必要なエピソードだったのか…。もちろん話としては上手い具合に回収しているのだが。このエピソードに限らず、本作ではやや冗長的なシーンが多く、ともすれば映画用に無理に尺を喰っているようにも感じた。結局secret安永泰三secretが2人を殺した犯人であることは予想通りなのだが、その理由は少しあざと過ぎにも思える。

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私は直子を見ていて、光市母子殺害事件の遺族である本村さんの言葉「遺族だって、回復しないといけないんです、被害から。人を恨む、憎む、そういう気持ちを乗り越えて、また優しさを取り戻すためには、死ぬほど努力しないといけないんです」を思い出したのだけれど、結局本作ではそこを上手く消化しきれていないと思う。大きな悲しみから抜け出せない遺族の容疑を晴らす、その為に「ホトケの最期の声を拾う」倉石の姿はそれでいい。しかし物語の流れが殺人事件の犯人と謎の解明になってしまい、しかもその犯人がsecret倉石の師匠・安永教授secretだったために、遺族の直子がどこかに消えてしまったのが少々残念だ。ところで倉石の病はドラマからの流れなのだろうか?そしてあのラストは続編への布石なのか。これはファンの方の方が良く解るかもしれない。

最期に余談を一つ。隣に座っていたご年配の夫婦、ラストシーンを観た奥さんが旦那さんに一言「知ってんならさっさと教えてあげりゃいいのにねぇ。しかも後ろから見てるなんて気持ち悪い。」ごもっともだが、それじゃドラマにならないよ(苦笑)

soon 6月30日(土)公開

個人的おススメ度3.0
今日の一言:柄本佑はこんな役が実に上手い
総合評価:62点

作品情報
キャスト:内野聖陽、松下由樹、渡辺大、平山浩行、益岡徹、高嶋政伸、段田安則、若村麻由美、柄本佑、平田満、長塚京三
監督:橋本一
プロデューサー:佐藤凉一、目黒正之、横塚孝弘、八木征志、越智貞夫
原作:横山秀夫
脚本:尾西兼一
撮影:栢野直樹
製作年:2012年
製作国:日本
配給:東映
上映時間:129分
映倫区分:G

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