デンジャラス・ラン/Safe House
元CIA最強のエージェントと、新米CIA職員の苛烈な逃避行を描いたアクションムービーだ。主演は『トレーニング デイ』のデンゼル・ワシントンと、『グリーン・ランタン』のライアン・レイノルズ。共演には『マイレージ、マイライフ』のヴェラ・ファーミガらが出演している。監督はダニエル・エスピノーサ。 |
9月7日(金)公開 |
凄腕エージェントと言うほどには… |
あらすじ
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鑑賞から1週間もたたないのに既に内容を忘れつつある作品だったりする。今回のデンゼル・ワシントンは凄腕の元CIAエージェント、トビー・フロストという役だ。その設定からして超定番である。一応劇中でトビーは心理操作のプロ中のプロであり、ヤツと話していると知らないうちに操られてしまうということらしい。事の起こりはそのトビーがMI6のエージェントから受け取った極秘ファイルだ。スパイの世界をひっくり返すほどの爆弾情報の入ったそのマイクロチップを手にしたトビーは、しかしCIAの網に係り囚われの身となる。そこで連れて行かれたのが“セーフハウス”と呼ばれる隠れ家だ。この物語のもう一人の主人公マット(ライアン・レイノルズ)はその管理人だった。
というと聞こえは良いが、要するに世間一般が想像するようなCIAエージェントではなく、下っ端も下っ端である。では元とはいえCIAの凄腕エージェントと、新米下っ端CIA職員は何故共に“デンジャラス・ラン”をすることになったのだろうか。残念ながらトビーの心理操作のせいではない(笑)単純に隠れ家が何ものかに襲撃されて、生き残ったのがこの2人だったというだけなのだ。という訳で、凄腕という割りにトビーが全然凄くないし、彼の得意技である心理操作など殆ど表に表れてこないのが残念だった。一応マットに対してもトビーは心理操作を仕掛けるのだが、なんだかんだと彼はそれを受け付けない。それは即ちマットが優秀なエージェントであることを表していたようだ。
例えば、逃走途中にトビーはマットから一旦逃げ出すことに成功する。しかし彼はトビーの些細な行動を思い起こし、彼が潜んでいる場所を見事に見つけ出すのだ。これなども彼の優秀さを表すエピソードだろう。ただマットのことは別にそれで構わないが、それならトビーの優秀さを見せ付けるようなシーンを他にも作って欲しかったと思う。更に逃げることに重点を置いたようなタイトル自体にも違和感を感じた。マットとトビーは隠れ家を転々とするものの、行く先々で襲撃を受けるのだ。まるで彼らの行き先が解っているかのように。もちろんターゲットはトビーであり、この時点で彼がゲットした情報が原因なことは解るし、実際襲撃の事実そのものが情報内容に対する伏線だったりもする。
同じ敵がピンポイントで襲撃をかけてくることの答えは一つ、何者かがトビーたちの居所をリークしているのに他ならない。極自然にこう考え付くと、この物語の真の黒幕が誰なのかはかなり絞られてくる。マットが逐一情報を上げているのはCIA本部だけで、しかもそこを仕切っているのはキャサリン・リンクレイター(ヴェラ・ファーミガ)とデイビッド・バルロウ(ブレンダン・グレッソン)の2人しかいないのだ。ならばそのどちらかしかありえない。というか下っ端の下っ端であるはずのマットを必要以上に買っているデイビッド、彼の言動は観ていて胡散臭さ120%だ。結果的に謎解きという程大した物語もなく、後はただカーチェイスやアクションが繰り広げられるだけだった。
そのカーチェイスも別に特筆するほどのこともなく、アクションもデンゼルの過去作品に比べても普通といったところ。一応見せ場として『アルティメット』シリーズを彷彿とさせる、貧民街の屋根の上を飛び移りながら逃走するシーンも用意されては居るのだが、パルクールアクションの迫力とは比べ物にもならない。エージェントの悲哀を見せつけるトビーと、それでもエージェントになりたいマット、新旧入れ違うラストシーンは情感たっぷりに描かれてはいる。ただそれはストーリーとしての帰結といより、デンゼル・ワシントンと怪我をしていると甘い顔に真剣みが出るライアン・レイノルズの2人の演技力に負うところが大きいと感じた。
9月7日(金)公開 |
個人的おススメ度2.5
今日の一言・ヴェラが「ミッション: 8ミニッツ」みたい…
総合評価:54点
作品情報 |
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