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2012年7月24日 (火)

遊星からの物体X(1982)/The Thing

X 1951年のハワード・ホークス製作による『流星よりの物体X』のリメイク。南極の氷の中から発見されたエイリアンが、南極基地のアメリカ人隊員たちと死闘を繰り広げる。監督は『ザ・ウォード/監禁病棟』が公開されたSF・ホラーの巨匠ジョン・カーペンター。主演はカート・ラッセル。最初から最後まで予想の付かないスリリングな展開に引き込まれる。
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計算し尽されたエンドレスホラー

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ジョン・カーペンター監督の傑作と名高い本作だが、噂に違わず凄い作品だった。最初から最後まで途切れることなく続く緊張感と不安、“The Thing(それ)”の造形の生々しさは計算されつくした隙のないものだ。物語はいきなり南極の大雪原を走るハスキー犬をヘリコプターからライフルで狙う人間というシーンからは始まる。逃げ惑う犬を撃ち殺すというのは実はありそうであまりない光景で、最初は狼か何かかと思ってしまった。しかしそれだけに感じるのは「何で?」という素朴な疑問。そう、そしてそれは犬が逃げ込んだ先のアメリカ基地の隊員たちにも言えることなのだ。襲っていたのはノルウェー基地の隊員なのだが、怒鳴っていたノルウェー語らしき言葉は出鱈目だそうだ(笑)

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疑問を解くためにヘリ操縦士のマクレディ(カート・ラッセル)はコッパー医師(リチャード・ダイサート)と基地へと向かう。何故か廃墟となっていた基地から、記録ノートとビデオ、謎の生物の遺体などを見つけて持ち帰るのだが、これらの手がかりを元にマクレディたちはどうやらノルウェー隊員が約10万年前に落下したUFOから凍結されていたエイリアンを発見、それが蘇生したらしいことを突き止めるのだ。実はこの辺まではマクレディの推測という形で簡単に明らかにされる。しかもその後すぐ、くだんの犬は犬小屋で変身し周りの犬を襲い始め、隊員たちの手によって殺されるのだ。犬の口がバカッっと裂けて広がり、生々しい肉の中から気色悪い“The Thing(それ)”が顔を覗かせる。

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このシーンは、CG全盛の現代であっても全く遜色ない見事な出来栄えである。斬新に感じたのは、そのエイリアンの見せ方だ。今では大抵の作品は、スピルバーグ監督などが得意とするエイリアンのチラ見せ演出が多い。逆に言えば明確に見せないことで恐怖を煽る演出なワケだが、カーペンター監督はむしろ見せることで恐怖を煽っている。それが出来るのはこのエイリアンの特性によるものだった。つまり“The Thing(それ)”の血液はその1滴でもその周りの生体に同化し、その生体そのものに化けることが出来るのだ。グロい本体映像を見せることで“あんな化け物が!”と思わせながら、しかしその一方で人間に同化している“The Thing(それ)”は見えていても見えないのである。

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更に生物学者のブレア(A・ウィルフォード・ブリムリー)により、このエイリアンが人類の中に紛れ込んだら、約2万7千時間で地球は征服されてしまうことが判明する。ここでまた伏線の撒き方が絶妙に上手い。まず犬は変身して殺される前の数時間は、基地内を自由に動き回っているということ。しかも何かを考えるようにしながら人のいる部屋に入っていくカットまで用意されている。従って当然仲間の誰かが“The Thing(それ)”になっているのではという疑念が湧いてくるワケだ。もう一つはブレアが狂ったように大暴れして仲間によって別の建物に監禁されること。それは彼が絶望的な事実を知ってしまったからなのか、それとも既に“The Thing(それ)”だからなのか判然としない。

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恐怖という炎に疑心暗鬼という燃料が次々投下され、より一層恐怖が燃え上がり、隊員たちだけでなく観ている我々までもが気を許せない緊張感、不安感に悩まされることになるという寸法だ。疑わしいと思われる人間はいても、先の展開が全く予測不能というのも、恐ろしさを余計に引き立たせていた。しかし、一方的にエイリアンにやられる展開でないというのもまたミソだ。即ちマクレディはとある事から“The Thing(それ)”を判別する方法を見つけるのである。その判別法を見つけ実施するシーンから本作は佳境を迎えることになる。姿を現す“The Thing(それ)”。火炎放射器で焼いても首がもげ、そこからクモの如く脚が生えカタカタと動いていくなど、もはや生理的に気持ち悪過ぎる。

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しかもその場にいた隊員の中から“The Thing(それ)”を見つけ出し退治しても恐怖はまだ続く。別の部屋に監禁したブレアの存在だ。とにかく、一瞬たりとも気が抜けない状態が延々と続くのである。結局ブレアは“The Thing(それ)”だった。次々と襲われマクレディだけが何とか生き残る。しかし発電機は壊されてもはや彼もまた凍死を待つのみだ。ところが、そこにもう一人の生き残りチャイルズが現れる。バッドエンドであってもこの言い知れない不安感から解放されるのならともかく、カーペンター監督は作品を観終わってなお、我々をその不安感・恐怖感から解放するつもりはないらしい。この後様々な作品からオマージュをされるのも納得なホラーの傑作だった。

個人的おススメ度4.5
今日の一言:変なラブストーリーがないのがまたイイね
総合評価:90点

作品情報
キャスト:リチャード・ダイサート、ドナルド・モファット、T・K・カーター、カート・ラッセル、ウィルフォード・ブリムリー、キース・デビッド
監督:ジョン・カーペンター
製作:デビッド・フォスター、ローレンス・ターマン
原作:ジョン・W・キャンベル・Jr
原題:The Thing
製作国:1982年アメリカ映画
上映時間:109分

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