クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち/Crazy Horse
『パリ・オペラ座のすべて』など、ドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン監督最新作。今回は世界的に有名なパリの老舗ナイトクラブ「クレイジーホース」の舞台裏に密着した。女性の体の美しさを存分に活かしたダンサーたち、そのダンスを演出する演出家や振付師、衣装のスタッフなど、クレイジーホースを形作る人々の真実を赤裸々に映し出している。 |
何という美しいカラダ! |
あらすじ
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美しい。ただひたすらに美しい。この作品、R15+指定がついているのだがそんなことをすることに何の意味があるのかと思うほどに綺麗だった。確かに上映開始からもうヌードは全開。バストはもちろんの事、局部のヘアらしきものもチラチラ見えるし、お尻だって丸出しだ。何よりそのショー自体がとてもセクシーである。だが、決して嫌らしくは無い。時として統制の取れたそのダンスに感動し、シルエットになった女性の曲線美にウットリと見とれてしまう。これは誰が何と言おうと芸術の部類に入るものだ。だからこそ芸術の都パリで1951年に創業されてから今に到るまで人々に愛され続けているワケで、コルチエやスピルバーグ、ビヨンセらが絶賛しているのも良く解る。
そもそもクレイジーホースのダンサーを選ぶ時の基準はボディラインなのだそうだ。ダンスが下手でも歌が下手でも構わなく、もって生まれた資質そのものに優れた女性が集められている。即ち演出や演目だけでなく彼女たちの体そのものがエンタテインメントであり、芸術なのだろう。もっともおかげでダンサー自らが歌った最新演目「DESIR」の曲はお世辞にも上手いとは言えなかったが…(苦笑)さて、フレデリック・ワイズマン監督はそんなクレイジーホースのダンサーやスタッフたちに密着し、最新演目「DESIR」が完成に到るまでを軸としながら、このクラブの舞台裏を赤裸々に映し出すことに成功していた。まあ手法的には『パリ・オペラ座のすべて』と大体同じと言っていい。
観ていて自分でも意外だったのが、胸よりお尻の方に見とれてしまったことだ。全てのショーでダンサーたちは胸を一切隠さない。そう大きくも無いが形の良い張りのあるバストが踊るたびにゼリーの如くプルプル揺れるのはそれはそれで目が行くのはもちろんだが、衣装を隠されていてもいなくてもあの豊かな丸みを帯びたヒップラインは、ある意味女性らしさの真骨頂だという気がする。実際衣装を担当しているフィフィ・シャシュニルも、綺麗なラインを出すために演目にしたがって着る衣装の素材まで気を使っていた。かくして登場する全てのダンサーが同じようにレベルの高いヌードを披露してくれるのだが、ちょっと気になったのが全員同じような体に見えたことだ。
これはオーディションで選ぶ際の基準が厳格だからなのだろう。もちろん美しいヌードが何人いても全く構わないしむしろその方が良いのだけれど、そんなところにも老舗の伝統というか拘りを感じたりもした。さて、ダンサーたちを演出するのがフィリップ・ドゥクフレと、芸術監督のアリ・マフダビ。彼らは議論を繰り返しながら「DESIR」の完成度を高めて行くのだが、女性であるダンサーたち以上に女性らしさや女性の美しさを熟知していた。ミーティングでダンサーたちと話し合う時などは、ともすればケンカになってしまうのではないかとヒヤヒヤするほどダイレクトな言葉を相手に対して浴びせかける。もちろん相手の力を認めた上での事なのだが。
正直言うと出来上がった「DESIR」はこれまでの演目よりもエンタテインメント性が強いように感じた。というかどこかアメリカナイズされた感じがしたのと、先に書いた通り歌は今一つだと思うので、個人的にはあまり好みではない。ただそれもそこに到るまでに観て来たショーと比較したらということだが。御年82歳になるワイズマン監督が10週間の撮影をし、編集に一年間かかったと言うこの作品。「(前略)これを(クレイジーホースのダンサーたちの肉外)美しいと認識できなかったら、視覚に障害があるということになってしまいます。(後略)」彼にここまで言わしめただけの映像を是非劇場で観て欲しい。
個人的おススメ度4.0
今日の一言:ショーだけなら85ユーロからだって
総合評価:78点
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