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2012年7月17日 (火)

ローマ法王の休日/Habemus Papam

Photo 『息子の部屋』のナンニ・モレッティ監督がローマ法王が選出される会議・コンクラーベによって選ばれた新法王の苦悩をユーモラスに描いたドラマだ。主演は『美しき諍い女』などのミシェル・ピッコリ。共演にイエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、そしてモレッティ監督本人も出演している。
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soon 7月21日(土)公開

滅多に観れない光景が観れただけ?

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原題「Habemus Papam」(アベムス・パパム)はラテン語で“教皇が決まった”という意味。そのものズバリの原題に比べて邦題『ローマ法王の休日』は映画そのものを上手く意訳したタイトルだと思う。もちろんまず思い浮かべるのはオードリー・ヘプバーンの『ローマの休日』。かの作品はアン女王がグレゴリー・ペック演じる新聞記者のジョー・ブラッドレーと共にローマの街で束の間の休日を楽しむというものだった。本作では女王にも匹敵する法王が束の間の休日を楽しんでいた……かどうかは少し微妙(笑)なのだが、要は高貴な人間が束の間の自由を得るという意味では同じである。オープニングのサン・ピエトロ広場の映像は、前法王ヨハネ・パウロ2世の実際の葬儀の映像だそうだ。

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次期法王を選ぶコンクラーベと呼ばれる会議では枢機卿たちの3分の2以上の得票が必要なのだが、ほぼ全員が「自分の名前を書かないでくれ」と祈っているのが面白い。世界12億人以上の信者を導くカトリック聖職者の頂点の座であり、ある意味一国の元首よりも遥に強大な力を持ちえるのだから、私のような俗物から考えると何としてもその座に座りたいと考えそうなのだがそうでもないらしい。そして今回のコンクラーベで選ばれたメルヴィル(ミシェル・ピッコリ)も絶対に選ばれたくないと思っていた一人だったようだ。広場に集まる信者に就任演説をする直前、メルヴィルはそのあまりの重圧に負けて遁走してしまう。殆ど子どもが駄々をこねるようなその状態に、失礼ながら笑いがこぼれた。

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精神科医(ナンニ・モレッティ )を呼んで診察を受けることになるのだが、医師とメルヴィルをずらっと枢機卿たちが囲んで見守っている画はバカバカしくていい。ここまでを観ていると、仮にも法王に選ばれた人間をからかっているようにも見えるのだが、この作品に対してバチカンからは何も言われなかったという。所詮映画は映画だということなのだろうか。さて、この辺まではあまり見られないコンクラーベの様子やシスティーナ礼拝堂内での枢機卿たちの様子が興味深くもあったのだが、メルヴィルがバチカンの外の精神科医に受診を受けた際に本当に逃亡してしまったあたりからなにやら物語が急に退屈になってしまった。ここから暫くメルヴィルが街の人々と触れ合う姿が描かれる。

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人々と触れ合うと言えば聞こえは良いが、別にメルヴィルは枢機卿とはいえ生まれながらの王族だったわけではない。それは自ずからアン女王が自らの知らない世界に目を輝かせるのとはワケが違う。別に彼が人々との触れ合いの中で何を感じようと、それそのものが面白かったり、感動したりというものではない。要は重圧から逃げ出した老人が何かに救いを求めている姿なだけで、それがどうだというのだ。一方で新法王に逃げられた報道官(イエルジー・スチュエル)は枢機卿たちに法王が部屋にいるように誤魔化そうとするのだった。新法王が発表されるまでは何人たりとも礼拝堂から外に出ることは許されないのだそうで、仕方なく枢機卿や精神科医はガードゲームに興じたりしている。

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バチカンの衛兵の一人をメルヴィルの影武者に仕立てて、時折部屋のカーテンを揺すったり、上半身白い服を着て手だけ出して振ってみたりとその辺の芸の細かさはユニークだし、それを観た枢機卿たちが騙されているとも知らず喜んだりする姿も滑稽と言えば滑稽だ。ただ残念ながら余暇の過ごし方をバレーボールに変えてみたり、影武者の衛兵が段々大胆な態度になってきたりといった変化球はあるものの、見せていることはずっと同じ事の繰り返しなのだからそうそう何度も笑えはしない。実際観客席も微妙な空気が支配していた。つまらないとは言わないが、コメディならコメディでもっと突き抜けた何かがないとスカッと笑えないのだ。結局メルヴィルはバチカンに連れ戻される。

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ようやくバルコニーに現れた新法王の就任挨拶に広場の民衆は熱狂的な歓声を上げるのだが、新法王の口からでた言葉は思いも寄らぬセリフだった。何と堂々と自分が法王になれないことを宣言してしまうのだ。人々を導くどころか自分が導かれたいと。カトリックの教徒が観たらどう感じるのかは知らないが、無宗教の私にしてみたら「なにそれ?」としか思えない最後だ。賛否両論あるこのラストだとは思うが、私には全く頂けない。部分的に面白いシーンもあるけれど、総じて言えば向いてない作品だった。

soon 7月21日(土)公開

個人的おススメ度2.5
今日の一言:外に出ないほうが面白かった
総合評価:54点

作品情報
キャスト:ミシェル・ピッコリ、ナンニ・モレッティ、イエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、マルゲリータ・ブイ
監督:ナンニ・モレッティ
製作:ナンニ・モレッティ、ドメニコ・プロカッチ
脚本:ナンニ・モレッティ、フランチェスコ・ピッコロ、フェデリカ・ポントレモーリ
撮影:アレッサンドロ・ペシ
美術:パオラ・ビザーリ
衣装:リーナ・ネルリ・タビアーニ
編集:エズメラルダ・カラブリア
音楽:フランコ・ピエルサンティ
原題:Habemus Papam
製作年:2011年
製作国:イタリア・フランス合作
配給:ギャガ
上映時間:104分
映倫区分:G

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