ぱいかじ南海作戦
阿部サダヲらしい作品 |
あらすじ
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別に何処が素晴らしいとか、終始ゲラゲラ笑えたとかではないのだが、何かホンワカ楽しく観させてもらった。南の島が舞台で、主演が阿部サダヲ、原作が椎名誠とくれば観ていなくてもその雰囲気は何となく想像できるのではないだろうか。勤めていた会社が倒産し、妻とは離婚、失意のどん底にあった主人公・佐々木(阿部定サダヲ)は、自分を見つめなおそうと何となく南の島にやってくる。劇中何処の島とはっきりとは言っていないが、沖縄の先にある島でヤマネコ注意の看板が出てくるのだからこれは西表島なんだろう。阿部サダヲのナレーションに乗せてサクサクと展開される物語は、軽いスナック菓子のように後を引く。島について行き着いたのは青い海が眩しい真っ白な砂浜だった。
意味もなくパンツまで脱いで全裸になる阿部サダヲ。舞台挨拶では同日公開の『ヘルタースケルター』とかけて笑いを取っていたようだが、そんなことをしなくても沢尻エリカのように美しくもなく、『海猿』の伊藤英明のように逞しくもない42歳のオッサンの体はもうそれだけで笑いを取れる(笑)さて、その砂浜で佐々木は奇妙な4人と出会うことに。マンボさん(ピエール瀧)、先生(浅野和之)、ギタさん(斉木しげる)、ヨシオ(大水洋介)の4人はもうこれが見るからに怪しさ120%。ただ佐々木は無警戒にも彼らの仲間に入り、浜で生活しようと決めてしまうのだった。ちなみに「ぱいかじ」とは南から吹く風の事だそうだが、風そのものは見えないだけに今一つピンと来ない。
ただとりあえず東京の猛暑日とも重なったせいで南の島の暑さがやけにリアルに感じられた。それだけに彼らの飲むビールが美味そうなこと!ところが、焚き火を囲んでの大宴会の翌日、マンボさんたち4人は佐々木の荷物と共に忽然と姿を消してしまう。ここから彼のサバイバル生活が始まるのだった。といっても、別にちょっと歩けば売店もあるし、電話もあるワケで、命の危険などゼロだ。なのに本人はサバイバルの達人ぶって物語が進行して行くのがまた緩くて面白い。まずやってきたのが会社の生活に疑問を感じたオッコチくん(永山絢斗)。佐々木にしてみれば腹ペコなところに食料を持って現れたオッコチくんは救世主なのだが、そんなことはおくびにも出さない。
佐々木はあくまでも年長者で、サバイバルの達人として彼と話すのだが、このシーン、この表向きの会話に佐々木の心の声が合わさった掛け合いが軽妙で笑える。永山絢斗はバカがつくほど好青年の役がピッタリ。芝居そのものは一本調子なのだが、その爽やかなイケメン好青年という存在そのものが、濃い阿部サダヲの佐々木とナイスコンビネーションなのだ。そんな男2人の生活にある日変化が訪れる。アパ(貫地谷しほり)とキミ(佐々木希)という可愛い女子が浜にやって来たのだ。最初はぎこちない出会いながらも、やがて4人は浜辺で一緒に暮らし始める。それにしても佐々木希の芝居はかなり酷い。短めのシーンにも関わらずあまりに情感のこもらないセリフ回しにはどん引きしてしまった。
特にアパとキミの掛け合いでは、貫地谷が上手いだけに余計に佐々木希の下手が際立っていた…。奇妙で楽しい共同生活が始まってから暫くすると、件の4人組がまだこの辺にいるらしいことが判明する。そこで佐々木は他の3人に荷物を全て盗まれたことを明かし、かくしてここに『ぱいかじ南海作戦』が始まるのだった。テントの周りに鳴子を取り付け、落とし穴を掘る、それは作戦というより、何かのイベントの準備を観ているようで、観ているこちらも楽しくなってくる。ただ結局作戦そのものとは関係のないところで4人との決着がついてしまうのは少々拍子抜けだった。離婚したCMプロデューサーの妻が砂浜にやってきて撮影を始めるというラストシークエンスは個人的には好きではない。
せっかくここまで個別のキャラクターを活かしつつ、南の島らしい贋サバイバルの面白さや、仲間との共同生活の楽しさをのんびりと描いてきたのに、最後に来ていきなりドタバタ状態。しかも佐々木は突然都会人の顔に戻っているし…。撮影用に作ったインカレ(足場)をイカダ代わりに佐々木がそれに乗って海に出るというラストは、結局何がどうだったのか良く解らないままで、いくら緩いドラマとはいえ締りがなさ過ぎだと思う。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:これといった特徴がないのが特徴かな
総合評価:63点
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