スープ~生まれ変わりの物語~
突然の事故で命を落とした父親は娘を死してなお娘を想い、娘は両親の離婚の真実をしり父を想う―。森田健のベストセラー・ノンフィクションをモチーフにした人間ドラマだ。主演は『サラリーマンNEO 劇場版(笑)』の生瀬勝久。共演に『のんちゃんのり弁』の小西真奈美、刈谷友衣子、松方弘樹ら豪華な顔ぶれが出演している。監督は大塚祐吉。 |
意外に豪華な出演者も見どころ! |
あらすじ
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タイトルにある“スープ”はそれそのものは大して意味を成さない。それよりも人間同士の想いが人と人を結びつけるのだという時空を超えた不思議な縁に感動を覚えた作品だった。主人公の渋谷健一(生瀬勝久)はとにかく冴えない中年男。お陰で5年前に妻に逃げられ娘の美加(刈谷友衣子)と2人暮らしだ。しかし美加にも嫌われていて、それ故に余計に死んだような表情を浮かべるから、更に嫌われるという悪循環。もっとも15歳の娘といえば思春期真っ只中で、別にどの家庭でも大抵は父親など嫌われる存在だと思うのだけれど(苦笑)お定まりの学校サボりに万引き、引き取りに行った帰りに口論から娘をひっぱたくなんてのはこの手のドラマではもう超お約束の展開だ。
ひっぱたいたと言っても軽くビンタした程度で、何も体ごと吹っ飛ぶほど張り倒したわけじゃあるまいし、そこまで気にしなくても良いと私などは思うのだが、健一はウジウジとこれを気にする。その陰鬱としたキャラクターは通常なら嫌気が差してしまう所ではあるのだが、生瀬勝久という基本三枚目の個性派俳優が演じると笑いに転じてしまうのだから上手いものだ。そんなある日、健一と彼の尻拭いをするために共に出張に出た上司の綾瀬由美(小西真奈美)の頭上に突如落雷が…。目を覚ますと何と2人は死後の世界にいるのだった。ここから先物語は現実と死後の世界がパラレルに描かれる。死後の世界で驚いたのはその豪華なキャスティングだった(笑)
2人がある建物に入るとそこには死んだ人たちがワラワラと…。このワンシークエンスだけでも堀部圭亮、池田鉄洋、谷村美月といった面々が登場する。更に2人は健一の仕事の取引先の社長で半年前に亡くなった石田(松方弘樹)と出会い、飲むと来世に生まれ変われるけれど前世の記憶を忘れてしまう“スープ”を飲みに出かけるのだった。、ただし健一だけは娘の事を忘れたくない。そこで3人は記憶を失わずに生まれ変わる方法を探り、偶然出逢った女性・矢野歩(大後寿々花)にその方法を知る人物・近藤(古田新太)のところまで案内してもらう。嫌な思い出を消してしまいたい歩と嫌な想い出でも大切な人との想い出は消したくない健一、そんな2人の距離感が少しずつ縮まっていくのが不思議だ。
一方、現実世界では一人残され、離婚した母親に引き取られた美加はそこで両親の離婚の真実を知ってしまう。要するに父の不甲斐なさから母が父を捨てたと思っていたのが、単に母が浮気をして父を捨てたということだったわけだが。自らが嫌っていたはずの父のお墓にバラの花を供える姿からは、今更悔やんでもどうにもならない寂しさと、父への愛情が入り混じった気持ちが良く伝わってくる。で、結論から言うと石田は何故かいきなり生まれ変わり、歩はスープを飲み、健一は飲まずに記憶を保ったまま生まれ変わることに成功する。物語的にはこれで娘と出会えば大団円だと思っていたのだが、意外にもここからが結構長かった。何と死んでから16年後に生まれ変わった世界の物語が始まるのだ。
当然ながらここから先には生瀬勝久や小西真奈美、松方弘樹は一切登場しない。代わりに3人が生まれ変わった人間が登場してくる。健一は三上直行(野村周平)、歩は西村千秋(橋本愛)そして驚いたのが石田は美崎瞳(広瀬アリス)という女子中学生に生まれ変わるのである。あのごつい松方弘樹が18歳の広瀬アリスに…何やらそれだけで妙な感覚が(苦笑)娘・美加との再会が彼女の結婚式当日というのはやや作りすぎな気がするが、それでもやはり感動してしまった。そしてそれは歩=千秋とのそれでも同じだ。想いの強さが人の魂を引きつけるのかと思うと同時に、正しく“因縁”とはこのことだろう。それにしても、個人的には生まれ変わらずに好きなことが出来る死後の世界で暮らすのも悪くない気がした…。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:広瀬アリスは水野美紀そっくり
総合評価:73点
作品情報 |
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