特集レポ 『ニセ札』舞台挨拶~キム兄の涙の訳~

そもそも舞台挨拶なるものに出かけたのはいつ以来だろう。渋谷東急で行われた『ツインピークス』の舞台挨拶で私の2つ前に、今は沢尻エリカの旦那・ハイパーメディアクリエイターの高城剛氏が並んでいたあの時以来だと思う。テアトル新宿の受付で「この回上映後『ニセ札』の舞台挨拶がありますがよろしいですか?」と聞かれてそんなことを思い出した。

さて、日曜日の昼下がり、13時過ぎのことだ。別に拘った訳ではないのだけども、何となく14:10の回の上映に間に合うようにテアトル新宿へと向った。入り口で聞こえてきたのは「号外ありま~す!」の声。号外?

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叫んでる人に近付くとこんなんくれました。(σ・∀・)σゲッツ

さすがはキム兄の作品、芸が細かい。こういうの嫌いじゃないよ。

ていうかむしろ好き♪

そして号外を読みつつチケット売り場に向う。そこで冒頭の受付のお姉さんの言葉になる訳だ。でだ、せっかく前売券1500円也で観ようと思ったのだが、舞台挨拶付きは追加で500円だという。今日はハシゴの予定なのでこの後もスケジュールはぎっちりだ。泣く泣く500円払って席を指定することにした。

KLY「どの辺なら空いてますか?」
受付「この中央より後ろなら何処でもどうぞ。」
KLY「え?じゃあど真ん中空いてます?」
受付「かしこまりました。」

え”?1時間前だよ?何でそんなに空いてるの?

というかこの映画大丈夫?( ̄○ ̄;)

まあそれでもこれ以上はない位置をゲットしたのだからいいや♪と入場時間を待つことにした。しばらくすると人ごみが出来始めた。「お、さすがにそろそろ来たかね。♪」そして会場10分前。

スタッフ「関係者、招待者の方はこちらにお並びくださーい!」

ああ、初日だしね招待もけっこういるんだね。

するとどうだろう、そこで待っていた人間の大半が並び始めるではないか!

舞台挨拶だからねぇ、俳優さんに恥かかさないためにも、助っ人は必要です。簡単に言うと

大人の事情ってやつね

そう思いながら入場したのだった。で、ここまでが壮大な前説♪(なげ~よ!って突っ込みは受け付けません。悪しからず。)

<上映中>

さて、エンドロールも終わりに近付くと、舞台挨拶の雰囲気を察して館内がなんとなくそわそわした雰囲気になってくる。そしてエンドロールが終わったその瞬間のことだった。

私の隣の人は全力で拍手を始めた

それにつられて会場から拍手が巻き起こ・・・らなかった。いや正確には一応少しの間だけ拍手はあった。だがそもそもあの映画の出来で拍手はないだろう。すぐに拍手はやんでしまった。

あの『グラン・トリノ』の試写会ですら拍手なんて微塵も起こらなかったのだ。むしろこの作品で起こるほうが不自然だ。そしてスタッフが扉をあけると、どこにそんなにいたのか、人がなだれ込んできた。その人たちは両サイドの通路やら後ろに陣取って舞台挨拶を今かと待っている。そしていよいよ舞台挨拶の開始だ。司会者の女性が壇上に現れた・・・

司会者「みなさんこんにちは!今日は映画『ニセ札』にお越しいただきありがとうございます!」
司会者「何とね、立ち見まででるこの盛況ぶり、きっと出演者の皆さんも・・・以下略」

チョイまて。(# ゚д゚)

テアトル新宿は全席指定/定員入替制です。
どなた様も劇場窓口にて日時・座席指定券をお求めください。

(テアトル新宿 定員入れ替え制のご案内より)

というか今時立ち見の出来る映画館なんかあるのだろうか?しかし私のそんな思いは当然のごとく全くスルーされたまま、いよいよ出演者の入場だ。舞台向って左側から次々現れる出演者たち。登壇したのは、監督・花村役のキム兄こと木村祐一、そして主演の倍賞美津子、青木崇高、村上淳、西方凌、三浦誠己の6人。(写真は左から惑星プラネット・田島、村上淳、倍賞美津子、木村祐一、青木崇高、西方凌、三浦誠己)

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司会者に促され順番に挨拶をしていく。既にこの段階でキム兄は嬉しさのあまりグズグズになっていた

キム兄「今日はみなさんホントにどうも・・・立ち見の方まで・・・」

いやその…(;゚∇゚)

今時こんな流れはないだろうと思うのだが、それでも見事な予定調和のもと舞台挨拶は進められていく。そしてキム兄の挨拶は続く。そしてここでキム兄のネタが炸裂したのだ!鼻をぐずぐずさせながら突然

キム兄「倍賞さん、おっぱい見せてください。」

会場どっかーん

Aoki そう共演の青木崇高は『おっぱいバレー』のメインキャストなのだ。それを知っていたキム兄のボケに倍賞さんはじめ、ほぼ出演者全員が「いや映画違うから!」とすかさず突っ込むあたり、中々良いコンビネーションが感じられる。

一通り挨拶も終わり、ここで司会者から報告があった。何でも『ニセ札』がモントリオール世界映画祭のコンペティション部門に招待されたらしい。感想を求められたキム兄は、またもグズグズになりながら

Kimuni キム兄「招待も嬉しかったんですが、何より嬉しかったのは、実は先ほどダウンタウンの松本さんからメールを頂きまして、招待されたことを「よかったなぁ、おめでとう。」と言ってもらえたんです。

正直予定調和に飽きてきていた私だったが、これには心から「おめでとう」を言いたい気持ちにさせられたのだった。

さて、会場が何となく感動の余韻を残しつつもタイムテーブルはドンドン進む。

次はスペシャルゲストの登場らしい。

そして会場に突如として流れるASKAの歌声。歌声の主、それは惑星プラネット・田島孝一だった。

ていうか、誰だ君は?( ´・ω・`)

要は『ニセ札』の主題歌をASKAが歌っているので、そのASKAのモノマネ芸人でキム兄の後輩を呼んだらしい。ある意味凄い抱き合わせ商法とも言える。(苦笑)

舞台でどうでもいいASKAのモノマネ芸を披露した後はマスコミ写真撮影。舞台挨拶もそろそろ終了が近い。

Tajima ところがここでハプニングが。先ほどの田島くん、緊張のあまり何とキム兄の隣に立っているではないか。君は出演してないだろ・・・。さすがにこれはまずかった。吉本のマネージャーが田島くんを一番左に追いやる。それが上に出て来る集合写真の秘密なのだった。(別にどうでもいいのだが…

この後もひたすらASKAのモノマネポーズを決めながら写真に納まる彼の姿は痛々しいとしか言いようがなかった・・・。すぐ隣に立っていた村上淳には

「横にいずれぇぇ(笑)」

と言われる始末だ。このあたりになるともはや帰りたいのだが、最初に書いた通り、通路まで人で埋めてあるのでもはやにっちもさっちもどーにもブルドッグだ。(違)

正直映画はいま一つだったがが舞台挨拶はそれなりに楽しめた。キム兄の涙は本物だったし。そんなキム兄の記念すべき初長編作品をいま一つと批評するのは気が引けるのだが、こればかりは仕方ない。もしまた次の機会があるなら、今度こそキム兄らしさを全開にして欲しいものだ。この舞台挨拶の時のように。

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